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豪州の洪水被害で肉牛価格が上昇

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1月中旬の若齢牛指標価格は、2005年8月以来の最高値

 豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)が1月14日に発表した報告書によると、豪州クイーンズランド(QLD)州で洪水被害が続く中、肉牛取引価格の指標となる東部地区若齢牛指標価格(EYCI)が上昇している。2010年11月以降、EYCIは上昇傾向で推移していたが、2011年は、昨年12月の最終取引価格を2%上回るキログラム当たり399.5豪セント(340円:1豪ドル=85円、枝肉重量ベース)でスタートし、1月13日には、同411.3豪セント(350円)と2005年8月以来の最高値となった。この要因として、QLD州の洪水により広範囲にわたり道路網が寸断された影響などにより、同国南東部における肉牛に対する競合が高まったことを挙げている。特に、ニューサウスウェールズ(NSW)州北部で、食肉パッカーからの強い需要により、この傾向が顕著であったとしている。しかし、QLD州の主要家畜市場が再開すれば、市場動向がより正確に反映されるとしている。

洪水による肉牛部門への影響について

 昨年末からのQLD州の洪水被害は、中東部から南東部へ広がり、今週半ばには、州都ブリスベンへと拡大した。同州は、最大の肉牛生産地であり、豪州全体の牛飼養頭数の半数近くが飼育されている。肉牛部門への影響についてMLAは今回の報告書の中で、全容を把握するには、数週間を要するが、食肉処理加工業の中心である同州南東部における道路、鉄道、橋など物流網への被害は甚大であり、肉牛や牛肉の移動に支障を来しているとしている。しかし、同州の食肉パッカーの多くは、雨季に当たる1月は、肉牛の調達に支障が出ることから、メンテナンスを行うため施設を閉鎖している。このため、今回の洪水による被害は、多少は緩和されるとしている。
 QLD州の大手食肉パッカーの多くは、来週から操業を開始する予定であるが、供給次第では、操業に影響が出るものとみられる。
 なお、今回の洪水による家畜の消失については今後、より明らかにされるが、MLAは、生産者が事前に洪水を知ったことから、被害は最小限にとどめたとしている。
【玉井 明雄 平成23年1月14日発】
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