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南米の農畜産業をめぐる現地情報(2011年3月上期)

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アルゼンチン

○ 牛肉価格はさらに上昇の見込み

 リニエールス市場の2011年3月2日の子牛(1歳未満)の生体価格はキログラム当たり10.4ペソと記録を更新した。慢性的な家畜不足に加え、畜産業者は増体を見込み生体を保留するため、牛肉価格は今後、数週間にわたって上昇するとみられる。

○ 国家農牧取引監督機構(ONCCA)の廃止が決定

 政府は2月25日、農畜産物の輸出管理、補てん金給付などの業務を行っていたONCCAの廃止を発表した。同機構の権限委譲先が確定しておらず、輸出許可などの業務が停滞、混乱が生じている。

○ 主要穀物メジャーに対する輸出登録の60日間の一時停止

 連邦歳入庁(AFIP)は、国内の主要穀物メジャーであるカーギル、アーチャー・ダニエルズ・ミッドランド(ADM)などへの輸出登録を3月4日より60日間停止した。これは生産者の穀物輸出税の不払いによる措置である。

○ パタゴニアでの大豆生産

 リオネグロ州は、中国との協定により、現在の同州の作付面積の2倍に当たる24万ヘクタールの農地での大豆生産を計画している。同州はアルゼンチンとチリの南部にまたがるパタゴニア地域に属するため、各方面から社会、環境および衛生面の悪化を懸念する声が上がっている。

ブラジル

○ 鶏肉、豚肉産業への飼料価格高騰の影響

 2011年2月の国内の穀物価格は大豆で前年比44%高、トウモロコシで同72%増となった。全国家畜飼料生産者組合(SINDIRACOES)によると、飼料価格指数は2010年1月〜2011年2月の間に養鶏で13%、養豚で15%上昇したとみる。牛肉価格高騰による代替需要の高まりにより、生鳥価格が2011年2月の前年同月比で32%高となっているため、影響が少ないが、豚肉産業では肉豚価格が同12%安となり、生産コストの増加に頭を悩ませている。

○ JBSがイタリア企業との合弁事業を解消

 主要食肉パッカーJBS社は、イタリアの大手食品メーカーであるクレモニーニ(Cremonini)社と3年前より進めていた合弁事業を解消した。両株主間での訴訟騒動などが原因である。同時にJBSは、2009年におけるブラジル食肉パッカーのベルチン(Bertin)社との経営統合により、すでに株式の70%を所有していたイタリアのリガモンテ(Rigamonti)社の全ての株式を取得した。ただし、クレモニーニとの合弁に比べ、リガモンテとの統合はJBSにとって大幅な規模縮小となる。

○ 大豆輸出量増加のため設備改良が必要とされるサントス港

 サンパウロ州港湾管理局によると、2011年のサントス港より積み出される大豆は3400万トン(前年比10%増)に達するとみられる。天候不順により収穫が遅れているものの、同港ではすでに混雑が発生している。大豆生産量は年平均10.5%増で推移するとみられるため、現在計画されている浚渫(しゅんせつ)工事では不十分であるとされる。
【石井 清栄 平成23年3月16日発】
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農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:岡)
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