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米国農務省、衛生検査結果が判明するまで食肉製品などの流通を禁止へ

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 米国農務省/食品安全検査局(USDA/FSIS)は4月5日、同局がサンプル検査を行っている食肉製品などについて、検査結果が判明するまで市場での流通を禁止する旨の提案を行った。施行規則及びパブリックコメントは今後公表される予定であるが、現時点では具体的な期日は定まっていない。

今回の提案はこれまでの大量リコール発生の反省を踏まえたもの

 食品安全検査局はこれまでも、食品企業などに対して検査結果が判明するまで当該食肉製品を流通させないよう要請してきた。しかしながら、検査により陽性と判明した時点で、既に当該食品が市場に流通し大量のリコールを引き起こすケースが認められていたため、検査結果が判明するまで流通させないことを義務付ける今回の規制強化措置が提案されたものである。
 今回の提案に当たってヴィルサック農務長官は、「既に多くの企業が自主的に同様の措置を講じているが、今回の義務付けは、食の安全のさらなる強化につながる」としている。また、食品安全検査局も「今回の措置が実現していれば、2007年から2009年に発生した深刻なリコールのうち44件は未然に防ぐことができたはずである」とコメントしている。
 新たな措置が適用される製品は、大腸菌O157:H7、リステリア、又はサルモネラの検査の対象となっている調理済み加工食品、および大腸菌O157:H7検査の対象となっている成型牛肉(non-intact raw beef product)などである。

食肉団体は支持を表明

 全米最大の食肉団体である米国食肉協会(AMI)は、今回の政府の提案を支持している。ボイル会長は「我々は会員に対して、検査結果が判明するまで製品を流通させないよう以前より指導してきたところであり、今回の農務省の提案を歓迎する。我々の試算によれば、2009年に発生した大腸菌O157:H7およびリステリアによるリコールの80%以上が、今回の措置により防ぐことができた」とコメントしている。
【上田 泰史 平成23年4月7日発】
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農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
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