南米の大豆生産は好調の見込み(ブラジル、アルゼンチン、パラグアイ)
ブラジルは南部で好調
ブラジル食糧供給公社(CONAB)は4月8日、2010/2011年度(10月〜9月)第7回主要穀物生産状況調査を公表した。それによると、今期の大豆生産に関して、収穫面積は前年度比3.0%増の2416万5千ヘクタール、生産量は同5.2%増の7222万8千トン、単収は同2.1%増の1ヘクタール当たり2.99トンとなり、過去最高の生産が見込まれることが明らかとなった。
収穫は全国の56%が終了したところであるが主要生産州ではほぼ完了に近い。生産量第1位のマット・グロッソ州では、収穫の90%が終了した。一部の地域では2、3月の多雨により品質低下が見られたものの、州全体では前年度比6.9%増の2006万トンが見込まれている。また、同第2位のパラナ州では収穫の80%が終了しており、今期は温度、湿度ともに好天に恵まれたため、同6.6%増の1501万1千トンが見込まれている。
今期は生産量の増大と好調な国際価格から輸出量は昨年を上回るとみられており、主力港の荷受け量はサントス港で前年度比10%増、パラナグア港で同20%増が見込まれている。これまでも、ブラジルの穀物輸送および輸出に関する流通インフラの整備の遅れが指摘されており、関係者からは今まで以上にスムーズな輸出に向けた投資が要求されている。
アルゼンチンでは降雨不足が影響
ブエノスアイレス穀物取引所の3月31日の報告によれば、収穫は7%が終了したところである。2010年後半、ラ・ニーニャの影響から降雨不足が見られたため、多くの生産者は、は種時期を遅らせた。2011年1、2月に降雨が回復したため生産の好転が期待されたが、3月に入り再び降雨不足が現れ、さらに高温も重なったことから昨年並みの生産は期待できず、同取引所によれば2010/2011年度(10月〜9月)の収穫面積は前年度比1.3%増の1836万8千ヘクタール、生産量は同7.4%減の4880万トン、単収は同8.6 %減の1ヘクタール当たり2.66トンにとどまると見込まれる。
パラグアイは単収が好調
パラグアイ農牧省(MAG)によれば、2010/2011年度(10月〜9月)の収穫面積は生育期間を通じて好天に恵まれたため、前年度比4.0%増の275万6千ヘクタール、生産量は同8.4%増の748万トン、単収は同4.2%増の1ヘクタール当たり2.71トンとなるとみられる。2008/2009年度は干ばつにより生産の大幅な落ち込みが見られたが、その後は順調に回復し、今期はブラジル同様、過去最高の生産が見込まれる。
南米3か国は昨年同様に好調の見込み
これまでの報告から南米のブラジル、アルゼンチン、パラグアイ3か国の合計は2期続けて好調な生産を記録する見込みである。4月8日公表の米国農務省(USDA)の予測では2010/2011年度の全世界の大豆生産量は2億6097万2千トンとされ、このうち南米3か国は1億2960万トン、49.7%を占めている。 近年、需給のひっ迫から価格が高騰していることもあり、南米における生産動向は今後ますます注目されることとなろう。
【星野 和久 平成23年4月11日発】
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