欧州委員会は4月4日、2011年2月の農産物生産者価格を公表した。これによると、多くの農産物生産者価格が過去数カ月上昇傾向で推移しており、特に牛肉(枝肉換算)については、100キログラム当たり351ユーロ(約42,120円。1ユーロ=120円)と、2007年〜2009年の価格高騰時を上回る高水準に達している。
品目別では、前月比1%安となったチーズを除き、軟質小麦が同6%高、デュラム小麦が同8%高、トウモロコシが同4%高、脱脂粉乳が同8%高、バターが同5%高、牛肉が同1%高、豚肉が同6%高、家きん肉が同5%高となるなど、農産物全般で上昇した。
食料品の小売価格についても前月比0.6%高と上昇しており、全体のインフレ率(0.4%高)を超える結果となった。
品目別では、水産品(同0.4%安)を除き、果物(同2.2%高)、野菜(同1.7%高)をはじめ、パン類、肉類、牛乳・乳製品、砂糖など全般的に上昇している。
なお、食料品の小売価格については、原料となる農産物価格の変動よりむしろそれ以外のコスト(労働費、投資およびエネルギーコスト、流通経費)に大きく左右されることに留意する必要があるとしている。
EUの農産物生産者価格および食料品小売価格の推移は下図のとおりである。このうち、農産物小売価格(緑色)については2008年3月以降下落を続けていたが、2009年9月頃に底を打ち、その後上昇に転じている。欧州委員会は、「新しいサイクルに突入か?」との囲みを付けていることから、域内のインフレ傾向に注目していると考えられる。