乳業管理委員会は4月20日、脱脂粉乳の介入買入在庫放出の入札を行った。域内の脱脂粉乳価格が100キログラム当たり238ユーロ(約28,560円。1ユーロ=120円)と下落する中、300トンの応札があり、応札価格は同190〜210ユーロ(約22,800〜25,200円)であった。
しかし、域内価格を下回る水準での放出は市場に悪影響を及ぼすとの判断から、放出は行われなったもようである。
脱脂粉乳の介入買入在庫は、2009年の域内卸売価格低迷時に買い入れが行われ、計約25万トンが市場から隔離された。大量の在庫を抱えたEU当局は、同年中に、一部を生活困窮者向けに仕向けると決定した。(注)
2010年に入ると、域内卸売価格が回復したことに伴い、5月以降同在庫を放出し、年末時点で約9万トンまで減少している。
2011年に入ると、域内卸売価格の高騰を反映し、1〜2月の短期間に約46,000トンもの放出が行われ、在庫量は約5万2千トンと急減した。当時は、域内卸売価格の高騰が続けば夏を待たずして同在庫は解消されるのではとの声も聞こえていた。
しかし、域内卸売価格が依然として高水準(介入買入価格の約6割高)であったものの、3月3日に開催された乳業管理委員会では約300トンという少量の落札にとどまり、続く3月17日、4月7日の同委員会においては、一定の応札があったにもかかわらず放出が行われることはなかった。(下図参照)
このように、脱脂粉乳の介入買入在庫は3回連続して放出が見送られたため、約5万2千トンという在庫量は変動していない。欧州委員会としては、2007年のような記録的な乳製品価格の高騰を抑制するため、一定水準の介入在庫を保有したいのではとも推察される。
また、2011年以降の最低落札価格を見ると、入札の度に上昇しているものの、常に域内卸売価格を下回っていることからも、欧州委員会が域内市場を刺激しない水準に落札価格を設定していることが読み取れる。
なお、毎月2回(第1・3木曜日)開催されていた同委員会については、5月以降毎月1回(第3木曜日)の開催へと変更され、次回は5月19日(木)の予定となっている。
(注)生活困窮者向け在庫(約9万4千トン)の放出は、6月〜9月に実施される見込みとなっている。