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回復が続く乳製品輸出(チリ)

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2011年第1四半期の主要乳製品輸出量は、前年同期比11.8%増

 チリ農業省農業政策・調査局(ODEPA)によると、同国の2010年の乳製品輸出は、2008年後半から2009年前半にかけて緩和傾向であった乳製品の国際需給が回復して引き締まったことから、数量で前年比5.5%増の約3億1000万リットル、金額で同18.4%増の約1億6500万ドル(約137億円、1ドル≒83円)となった。近年、チリの乳製品輸出は増加傾向にあったが、2009年は上記のような国際需給の緩和に加え、チリペソ高ドル安傾向であったことから、数量で同27.2%減の約2億9000万リットル、金額で同40.7%減の約1億4000万ドル(約116億円)となっていた。 
 また、2011年第1四半期における全粉乳、コンデンスミルクおよびゴーダチーズの輸出は、国際需給が依然として引き締まっていることから、数量で前年同期比11.8%増の約1万7000トン、金額で同36.2%増の約4900万ドル(約40億7000万円)と前年からの回復基調が継続している。なお、同国の乳製品輸出は、以上の3品目で全体の7〜8割を占めている。
図1
表1
 2010年における3品目の輸出動向は、以下の通り。

1 全粉乳 
 2010年は、主要輸出相手先であるアルジェリアやベネズエラ向けなどが減少したことから、数量で前年比33.3%減の約8800トン、金額で同38.9%減の約2700万ドル(約22億4000万円)となった。
図2
表2
2 コンデンスミルク 
 2010年は、主要輸出相手先であるメキシコや米国向けなどが増加したことから、数量で前年比17.3%増の約2万9000トン、金額で同28.4%増の約5200万ドル(約43億2000万円)となった。
図3
表3
3 ゴーダチーズ
 2010年は、主要輸出先であるメキシコ向けが増加したことから、数量で前年比22.0%増の約1万1000トン、金額で同67.2%増の約4400万ドル(約36億5000万円)となった。
図4
表4

輸出増から生乳生産量も増加

 以上のように、輸出の回復を受けて生乳生産者価格も上昇し、酪農家の生産意欲が刺激されたことから、生乳生産量は、2010年が前年比6.9%増の約18億9600万リットル、2011年1〜2月が、前年同期比14.5%増の約3億8000万リットルと増加傾向で推移している。  
 
 (注)チリの酪農・乳業については、畜産の情報2010年1月号「チリの酪農・乳業をめぐる現状」参照。
図5
図6

一部乳業メーカーは南部で事業規模を拡大

 このような状況下で、一部乳業メーカーは事業規模を拡大している。2010年の乳製品輸出額の40%以上を占めるネスレ社は、主産地南部に位置するオソルノ市に1億ドル(約83億円)を投資して粉乳工場を新設する。操業開始は2011年末の予定であり、敷地面積62ヘクタール、工場面積2万3000平方メートルで、年間生産能力3万5000トンとなる。同社は、この工場を含め、チリでコンデンスミルクなどを生産し、中南米諸国などへの輸出拠点にする計画である。
 なお、2010年11月に同社とソプローレ社(輸出額第2位、ニュージーランドの乳業メーカー、フォンテラ社資本)が2010年11月に承認申請していた共同会社の設立案は、チリ生乳生産者連盟(FEDELECHE)などの反対で、2011年3月に国家経済監督(FNE)により却下された。
【石井 清栄 平成23年4月25日発】
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農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
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