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EU向けヒルトン枠牛肉の割当量を引き上げ(アルゼンチン)

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年間1500トン拡大

 4月20日、アルゼンチン外務省(MRE)によれば、EU向けヒルトン枠(EU向け骨なし高級生鮮牛肉の低関税(従価税率:20%)の割り当て枠)を1年間当たり2万8000トンから2万9500トンに引き上げることでEUと合意したことがわかった。また、これとは別に、今後4年間で合計2000トンの一時的輸出枠も特別に配分されている。アルゼンチンでは今後、国内手続きを進めたうえで本年7月から実施する予定だ。 これにより、2007年、ブルガリア、ルーマニアのEU加盟を機にアルゼンチン・EU間で協議されていたヒルトン枠の拡大は、4年越しで決着したこととなる。

参考: 「EUの牛肉輸入管理制度について」(平成2010年5月25日)


ドイツ、オランダ、イタリアに高い単価で輸出が可能

 アルゼンチン動植物衛生機構(SENASA)によれば、2010年のヒルトン枠に基づく輸出量は2万5928トンで全牛肉輸出量に占める割合は13.4%、輸出額は約3億3599万ドル(約269億1280万円;1ドル≒80.1円)で同28.1%である。輸出単価の高いヒルトン枠の拡大がアルゼンチンの食肉産業に与える経済効果は大きく、MREでは今回の拡大により2500万ドル(約20億250万円)の輸出額増加を期待している。
表1
 主な輸出先はドイツ、オランダ、イタリアの3か国となる。これらだけで2010年は輸出量2万4930トン、全ヒルトン枠に占める割合96.1%、輸出額3億2341.6万ドル(約259億562万円)、同96.2%である。
表2

輸出用牛肉の安定的な確保が課題

 近年、アルゼンチンでは、干ばつによる繁殖牛のとう汰、大豆生産の拡大による牧草地の減少、不透明な介入を行う政府への不信感などから国内の牛肉生産は大幅に減退し、牛肉価格の高騰を招いている。この影響が輸出にもあらわれ、2010年の牛肉等(生鮮、加工品を含む)の輸出量は19万3149トンとなり、前年に比べ約46.0%に激減した。

参考:牛肉消費大国アルゼンチンの肉牛価格が半年間で50%超上昇(アルゼンチン)(2010年4月1日)

割当量は毎年7月から翌年6月までの1年間に適用されるが、例年、期間当初は、国内への供給を優先させたいアルゼンチン政府の思惑からヒルトン枠の輸出は事実上実施されない。2009年はこの期間が長引いたため、同年7月から2010年6月までの輸出実績は1万7054トンで割当量2万8000トンの約60%にとどまった。

図
 SENASAによれば、本年3月現在、今期を3か月残しこれまでのところ1万9344トン、割り当ての約7割が輸出されている。本年7月から始まる次期輸出枠の拡大に向けて、輸出用牛肉をいかに安定的に確保するかが、今後の大きな課題である。
【星野 和久 平成23年5月6日発】
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