2011年4月時点における韓国鶏肉需給の現状と見通し
韓国農村経済研究院(KREI)農業観測センターが4月25日に公表した2011年5月号の畜産観測(ブロイラー編)および韓国貿易統計に基づき、韓国の鶏肉需給の現状と見通しを報告する。
飼養羽数
素ひなの生産増加によりブロイラーの飼養羽数は増加している。
2011年4月の素ひな生産羽数は、前年同月比6.3%増の6039万羽とみられるため、5月のブロイラー飼養羽数は9161万羽(同7.8%増)まで増加すると見込まれる。
また、4月のブロイラー出荷日齢は32.6日齢と前年同月より0.6日早まり、出荷体重は同2.1%増加させるなど生産性の向上が図られている。
処理羽数
素ひなの供給能力が10月まで高水準で推移することから、飼養羽数は増加するものとみられる。このため、処理羽数も6月が8071万羽(前年同月比9.5%増)、7月が9272万羽(同7.4%増)と鶏肉の供給量のかなりの増加が見込まれる。しかし、6月以降は過剰供給が懸念される。
鶏肉輸入量
豚肉の代替需要により、2011年1〜3月の鶏肉全体(HSコード:0207)の輸入量は28,343トンと、前年同期を40%上回った。
5月の輸入量は、4月の産地及び消費者価格が高値で推移しているため、前年同月比16%増の9,000トン水準と見込まれる。ただし、鶏肉の無税輸入枠が設定された場合、同272%増の29,000トン水準になると予想される。
冷凍鶏肉の在庫
近年の供給不足によりブロイラーの産地価格が上昇し、在庫を放出したため、2011年4月10日現在の冷凍在庫量は前年比20.4%減の178万羽となった。
価格の推移
4月(22日まで)の価格は生体1キログラム当たり2,533ウォン(4月末TTSレート100ウォン=7.87円で199円)で前年同月より10.3%高い水準であった。
5月は処理羽数及び輸入量の増加により2,000〜2,200ウォン(157〜173円)になると見込まれている。ただし、無税輸入が実施された場合、予想価格よりさらに300ウォン(24円)程度低い水準になるとみられる。
日本の原発事故が韓国の食肉消費に与えた影響
農業観測センターが消費者650人に行った調査によると、日本の低濃度放射性物質を含む汚染水の流出により、水産物の消費を減らし食肉の消費を増加させた回答者のうち23%が、鶏肉で消費を代替した。
代替需要による鶏肉消費量の増加率は26.1%で、韓国全体では2〜3%の鶏肉の需要拡大効果があると分析されている。
【木下 瞬 平成23年5月9日発】
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農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
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