米国農務省、2011/12年度の米国トウモロコシ生産量は過去最高を予測
米国農務省世界農業観測ボード(USDA/WAOB)は5月11日、2011/12穀物年度(2011年9月〜2012年8月。以下、「年度」)における国内外の主要農作物の需給見通しを公表した。これによると、米国におけるトウモロコシの生産量は、天候不順による作付けの遅れから2月25日に農業観測会議で公表された予測値は下方修正されたものの、過去最高を記録すると予測された。
トウモロコシの生産量は過去最高となる見込み
米国における2011/12年度のトウモロコシ生産量は、本年2月の農業観測会議における予測量(137億3000万ブッシェル)よりわずかに引き下げられた。これは、天候不順により作付が遅れ、1エーカー当たり予測収量が2月の予測値より3ブッシェル下方修正されたことが影響している。作付予測面積は3月の生産者意向調査の結果を受けて前年を4.5%上回る9218万エーカーと見込まれており、生産量は前年度比8.5%増の135億500万ブッシェルと、過去最高を記録した2009年度を3.2%上回ると予測された。
一方、2011/12年度のトウモロコシ国内消費量は、2月の予測値をわずかに下回る115億5500万ブッシェル(前年度比0.04%増)と見込まれている。これを用途別に見ると、エタノール向けは、ガソリン消費量の緩やかな増加やエタノールの輸出需要を踏まえて50億5千ブッシェル(同1.0%増)に増加する一方、飼料等向けはDDGSの利用が増加していることなどから、51億ブッシェル(同1.0%減)に減少すると見込まれている。また、輸出向けについては、海外のアルゼンチンなどの競合国の生産増から18億ブッシェル(同5.3%減)に減少すると見込まれている。
このように、消費量がほぼ前年度並みにとどまる一方、生産量は大幅な増加が見込まれることから、2011/12年度の期末在庫数量は、9億ブッシェル(前年度比23.3%増)になると予測されている。ただし、これは、依然として記録的に低い水準であるため、生産者平均販売価格は、過去最高値と推計される前年度(ブッシェル当たり5.10〜5.40ドル)をかなり上回る同5.50〜6.50ドルになると予測されている。
また、今回の公表された需給見通しにおいては、2010/11年度の期末在庫が前月の予測より輸出が5000万ブッシェル減り、輸入が500万ブッシェル増えたことから前回予測値の6億7500万ブッシェルから5500万ブッシェル引き上げられた。
今回のUSDAの在庫予測の上方修正は、市場関係者の下げ予想を覆すものであったことから、この公表直後にシカゴのトウモロコシの先物価格は30セント近く値を下げた。
大豆は生産も在庫も減少
2011/12年度における米国の大豆生産量は、前年度を1.3%下回る32億8500万ブッシェルになると予測されている。2月に比べて6000万ブッシェル予測生産量が引き下げられたのは、作付予測面積が3月の生産者意向調査の結果を受けて140万エーカー引き下げられ7660万エーカー(前年度比1.0%減)となったことが影響した。なお、予測単収は1エーカー当たり43.4ブッシェル(同0.2%減)と2月の予測値が据え置かれている。
これに対し、2011/12年度の大豆総消費量は、2月の予測値から3000万ブッシェル引き下げられ、33億1000万ブッシェル(前年度比0.5%減)になると見込まれている。用途別に見ると、国内搾油向けが500万ブッシェル増えて16億5500万ブッシェル(同0.3%増)となったものの、種子等向けは1000万ブッシェル減の1億1500万ブッシェル(同8.0%減)となり、輸出向けについては中国の強い輸入需要にもかかわらず競合する南米の輸出増の影響により、15億4000万ブッシェル(同0.6%減)に減少すると予測されている。
消費量の減少よりも生産量の減少幅が上回るため、期末在庫は前年度より1000万ブッシェル減(前年度比5.9%減)と予測されている。また、ブッシェル当たりの生産者平均販売価格は、生産減と在庫減を受けて前年度の11.40ドルよりさらに上昇して12.00〜14.00ドルになると予測されている。
ただし、在庫予測が市場関係者の予測を上回ったことから、この公表直後にシカゴの大豆の先物価格は15セント近く値を下げた。
【中野 貴史 平成23年5月12日発】
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