2011年第1四半期の鶏肉生産量は引き続き増加(フィリピン)
農業総生産額は前年同期比9.9%増
フィリピン農務省農業統計局(BAS)が公表した、2011年第1四半期(1〜3月)の農業生産状況によると、農業総生産額(現行価格)は、前年同期比12.7%増の3472億ペソ(約6944億円:1ペソ=2.0円)となった。
耕種部門は増加、家畜、家きん部門は前年より減少
部門別では、農業生産額の6割を占める耕種部門が同26.7%増の2061億ペソ(約4120億円)、2割弱を占める水産部門が同1.7%減の524億ペソ(約1048億円)となった。
耕種部門については、コメやトウモロコシ、サトウキビなどの作物を中心に、生産量が昨年のエルニーニョ現象に伴う干ばつおよび高温の影響による不作から回復した上、価格も堅調に推移したことから、生産額が押し上がる結果となった。
畜産関係については、家畜部門(牛肉、水牛肉、豚肉、ヤギ肉、生乳)が同3.0%減の497億ペソ(約994億円)、家きん部門(鶏肉、アヒル肉、鶏卵、アヒル卵)も同4.4%減の390億ペソ(約780億円)と前年よりやや減少した。このうち、家畜部門では豚肉の生産額が406億ペソ(約812億円)で同部門生産額の約8割、家きん部門では鶏肉生産額が288億ペソ(約576億円)で同じく約4分の3を占めている。特に、鶏肉生産額については、後述する生産量が同3.8%増加したものの、生産者販売価格が同10.6%下落したことで減少している。
鶏肉生産量は引き続き増加
畜産関係の主な品目の生産量をみると、豚肉は肥育農家戸数の増加や中部ルソン地方、ビコール地方などでと畜頭数が増加したことにより、同0.6%増の45万8千トンと微増した。
生乳は、昨年の高温の影響で乳牛がダメージを受け、乳量が十分に回復しきれなかったことから、同1.5%減の3910トンとなった。
鶏肉は同3.8%増の34万5千トンとなった。BASは、鶏肉の生産量が増加した理由について、主産地においては換気システムの導入や飼養規模の拡大により生産性が向上したことに加え、その中でも特にカガヤン・バレー地方、西ヴィサヤ地方、中部ヴィサヤ地方、ソクサージェン地方で生産量が増加したためとしている。また、家計消費量の増加やファストフード店の出店増により、需要が高まったことも生産量の増加に起因しているとしている。
鶏卵は中部ルソン地域、カラバルソン地域、西ヴィサヤ地域、北ミンダナオ、ダバオ地域において採卵鶏の羽数が増加したほか、気象条件に恵まれ産卵率が向上したことから、同4.9%増の9万9千トンとなった。
【木下 瞬 平成23年6月1日発】
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