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2010/11年度の生乳供給量、前年度比2.1%増の1億3672万トン(EU)

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 ZMB(ドイツ乳製品市場価格情報センター)によると、2010/11年度(4〜3月)におけるEU27の生乳供給量(速報値)は1億3672万トンと、前年度比2.1%の増加となった。加盟国別では、主要な生産国であるドイツ、フランス、英国、オランダなどのEU15において同2.6%増となったものの、2004年5月に加盟したEU10では同0.3%減となった。
 EU-15において生乳供給量が増加した要因は、乳製品の域内需要が堅調であったこと、ユーロ安で推移した為替状況により、旺盛な国際乳製品需要の恩恵を大きく受けたことなどにより生乳生産者価格が上昇し、増産意欲が刺激されたためと考えられる。
 一方、EU10においては、小規模経営が多い中、酪農危機と呼ばれた2009年頃の生乳生産者価格低落時のダメージから回復が遅れ、廃業する酪農家が多かったことなどにより、生乳供給量が減少したとみられる。
表1

2011年第1四半期の生乳生産量、前年度の傾向を継続

 次の図は、2011年第1四半期の生乳供給量を前年と比較したものである。地図の青色部分は生乳供給量が増加した加盟国、赤色部分は減少した加盟国であるが、本四半期においても、EU15においては増加、EU10においては減少といった傾向が継続していることが読み取れる。この動きを踏まえ、ZMBは、2011年の生乳供給量について、ひっ迫傾向で推移する乳製品の国際需給動向を受け、生乳供給量、乳製品生産量・輸出量、乳製品卸売価格、生乳生産者価格ともに好調を維持するとしながらも、2010年の増加・上昇率には及ばないとしている。
 また、2015年の生乳クオータ撤廃後の生乳供給量について、ZMBは、増加すると明言しないまでも減少することはない、増産をけん引するのはEU15であり、EU10においては現状維持もしくは減少するとしている。
 なお、生乳生産量増加に伴いチーズを中心に乳製品も増産されることになるが、ZMBによれば、その仕向け先としては、干ばつの影響により生乳生産が減少しているロシア、伝統的に粉乳を輸入しているアルジェリアのほか、今後の成長市場として中国、南アフリカなどが主たる相手先と考えられる。EUのチーズ輸出において、日本は、ロシア、米国に次ぐ第3位の輸出先であるため、今後ともEUの乳製品需給動向に注視する必要がある。


2011年第一四半期の生乳供給量の推移(1〜3月)
地図
資料:ZMB
注:BEベルギー、BGブルガリア、CZチェコ、DKデンマーク、DEドイツ、EEエストニア、ELギリシャ、ESスペイン、FRフランス、UK英国IEアイルランド、ITイタリア、CYキプロス、LVラトビア、LTリトアニア、LUルクセンブルク、HUハンガリー、MTマルタ、NLオランダ、PLポーランド、PTポルトガル、ROルーマニア、SIスロベニア、SKスロバキア、SFフィンランド、SVスウェーデン、
【藤原 琢也 平成23年6月1日発】
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