インドネシアの食肉処理場12カ所への生体牛輸出を禁止(豪州)
5月30日、豪州のテレビ番組で、豪州から輸出された牛がインドネシアの食肉処理場で残虐な方法でと畜される映像が放映された。これを受けて、豪州政府は6月2日、インドネシアの食肉処理場12カ所への生体牛の輸出を3日より禁止すると発表した。
業界は既に取引を停止
生体家畜輸出業者の代表団体であるライブコープ(LiveCorp)や生産者団体である豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)など業界関係者は、放映に先立って、この映像を提供されていた。業界は27日、映像にあった食肉処理場3カ所について直ちに取引を停止するとともに、専門家のチームを派遣して指導を行うとする共同声明を出していた。
農相が実態把握を指示
30日の放映を受け、豪州連邦政府のラドウィッグ農漁林業相は直ちに、実態調査を行い、虐待の実態が判明した施設への生体牛輸出を停止するよう農漁林業省に命じていた。
農漁林業省は、豪州の動物保護団体であるアニマル・オーストラリアから提供された映像を分析し、映像にあったインドネシアの12カ所の食肉処理場への輸出を禁止することとした。
インドネシアは豪州にとって生体牛の最大の輸出先であり、2010年は全体の約6割を占める52万1,000頭をインドネシア向けに輸出した。豪州政府および家畜輸出業界は、インドネシアの動物福祉向上を目的とした指導や教育活動、インフラ整備に対して、過去10年に渡って400万豪ドル以上を投資している。
また、5月中旬には、家畜輸出業界が、インドネシア動物福祉アクションプラン(Indonesia animal welfare action plan)を公表しており、国際獣疫事務局(OIE)が定める動物福祉基準を満たすための取り組みを開始するところであった。
【伊藤 久美 平成23年6月6日発】
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