ZMB(ドイツ乳製品市場価格情報センター)によると、2011年5月におけるフランスの生乳生産量(速報値)は前月比4.4%減の216万トンとなった。
同国の生乳生産量は、例年、春にピークを迎え夏場にかけて減少していく傾向にあるが、今年はこの傾向が1ヶ月程度早まっている。
これは、4〜5月にフランス、ドイツなどヨーロッパ北部で記録的な降雨量不足が起こり、牧草、穀物などの生育に大きな影響があったため、乳牛の飼料が不足したことが要因と考えられる。
フランスにおける生乳生産量
資料:ZMB、Agreste、France Agrimer
一方、2011年4月におけるEU27の生乳生産量(速報値)は、前月比1.0%増の1,218万トンとなった。既報のとおり(平成23年6月1日付海外情報
「2010/11年度の生乳供給量、前年度比2.1%増の1億3672万トン(EU)」参照)、2011年におけるEU27の生乳供給量は、乳製品の域内需要が堅調であること、旺盛な国際乳製品需要が継続していることなどから好調を維持している。
しかし、ドイツに次いで域内生乳生産第2位の規模を誇るフランスで生乳生産量が減少したことから、今後のEU全体への影響が懸念されている。
欧州理事会のプレスリリースによると、フランスは、6月7日に開催された臨時農相理事会において、干ばつ被害に伴う作物生産量の減少、市場への影響、農家の収益性の低下等について説明した。中でも、飼料作物の影響が大きい畜産部門の被害が深刻とされている。また、5月17日には、フランスの生産者が直接支払いの前倒し等を欧州委員会に対し要求したことも明らかとなった。以上のように、ヨーロッパ北部を襲った干ばつの被害の深刻さが懸念されている。