飼料価格高騰し、養豚経営を圧迫(EU)
4月の豚飼料価格は前年比45%高
英国の農業・園芸開発委員会(AHDB)によると、EUでは飼料価格が高騰を続け、中でも生産コストにおける飼料費の割合が高い養豚経営が圧迫されている。2011年4月の豚用配合飼料価格は1トン当たり301ユーロ(約35,217円、1ユーロ=117円)と、前年同月と比較して45%も上昇した。この要因として、原料となる大麦、小麦価格の上昇が挙げられ、両者とも前年に比べ約2〜3倍の水準となっている。
EUにおける2011年5月の豚枝肉卸売価格は、前年同月を16%上回る100キログラム当たり157.09ユーロ(約18,380円)に上昇したものの、飼料価格の大幅な上昇に追い付いておらず、さらに、燃料費の上昇も重なり、養豚経営は生産コストの増大による収益性の低下で厳しい状況にあるとされる。
干ばつが穀物生産に悪影響の可能性
EUにおける小麦、大麦価格上昇の背景には、世界的な穀物価格の上昇に加え、2011年4月以降、フランス、ドイツなどEUの主要な穀物生産国で干ばつが深刻化し、生産に悪影響を与えるとの懸念があると考えられる。EU最大の小麦生産国であるフランスは、干ばつの影響により2011/12年度(7月〜翌6月)の単収が1ヘクタール当たり6トン(前年度比13%減)に低下し、生産量は3200万トン(同12%減)に減少すると予測されている。現時点では、同年度におけるEU全体の穀物生産量は2億8000万トン(同4%増)に増加すると予測されているものの、主要生産国の干ばつの影響から、今後、下方修正されるとの見方が関係者の間で強まっている。
【日高 千絵子 平成23年6月13日発】
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