韓国農林水産部は6月10日のプレスリリースにおいて、消費の多いバラ肉などの豚肉価格安定のために供給量を拡大するとともに、牛肉価格の下落で影響を受けている国内の生産者の経営状況を改善するため、韓国産牛肉の消費拡大を積極的に推進することを発表した。
現在、豚バラ肉の消費者価格は、2011年1月の500グラム当たり8,902ウォン(685円:100ウォン=7.7円(5月末TTSレート))から、5月は1月比20.1%高の10,691ウォン(823円)、6月9日時点では同37.2%高の12,212ウォン(940円)まで大幅に上昇している。
一方、韓国産牛肉の平均卸売価格は、2011年1月のキログラム当たり15,285ウォン(1,177円)から、5月は1月比23%安の11,770ウォン(906円)、6月9日時点では同24.2%安の11,593ウォン(893円)と下落している。
豚肉の価格安定および国産牛肉の消費拡大対策の概容は下記の通り。
1.輸入冷凍豚バラ肉の直接買入れ・売渡し
国産豚肉価格が安定するまでの間、政府は、輸入冷蔵豚バラ肉を輸入会社等を通じて買い入れるとともに、販売業者等に直接売り渡す。損失が発生した場合は、政府が補てんする。
2.軍隊給食用食肉の変更
軍隊用の給食で使用する豚肉を韓国産牛肉で代替供給し、豚肉の需要を抑制すると同時に、牛肉価格の下落により経営状況が悪化している国内肥育農家の収益改善に資する。
3.備蓄冷凍豚肉の放出
口蹄疫発生時に備蓄した冷凍豚肉848トンを、早期に農協中央会を通じて市場に放出する。
4.豚肉の関税割当の継続実施
豚肉の輸入無税枠の割当数量13万トン(うち冷蔵2万トン)の適用期限を6月末から12月末まで延長する。
5.国産牛肉の値引き販売
価格が下落している国産牛肉について、さらに半額に割引販売して需要を喚起することにより、豚肉需要からの代替となるよう誘導する。
農協および全国韓牛協会は、6月11日から休暇シーズンとなる8月末までの間、焼肉用の国産牛肉を前年末の水準から半額となるキログラム当たり16,900ウォン(1,301円)での販売を予定している。目標の販売量は4万頭分とし、状況に応じて拡大するとみられる。
これに加え、国立獣医科学検疫院および国立農産物品質管理院は、豚肉輸入量の増加を踏まえ、輸入豚肉の安全衛生管理の実態や流通現場の条件を改善するため、6月9日から30日までの期間に輸入豚肉の流通保管状況について、実態調査を実施するとしている。
主な調査内容は、輸入業者などの輸入販売取引の状況、賞味期限の管理状況、衛生管理状況、原産地表示および管理状況としている。
(参照)
韓国、鶏肉や乳牛などの新たな輸入無税枠を設定