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欧州議会、加盟国のGMO作物栽培禁止の権限を支持

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 欧州議会は7月5日、遺伝子組み換え作物(GMO)栽培禁止などの規制について、加盟国が判断するべきとした法案を、賛成568、反対84、棄権31の大差で可決した。
 EUでは、GMOを栽培できる品種については、GMOに係る現行指令(2001/18/EC)において、欧州食品安全機関(EFSA)による一定の評価を得てEUレベルで安全性を確認し、これに基づき栽培が承認される。原則として、承認後、加盟国は栽培を禁止することはできない。しかし、オーストリア、フランス、ギリシャ、ハンガリー、ドイツおよびルクセンブルグなどのGMO栽培に慎重な国は、加盟国が重大なリスクがあるとした場合、承認後であっても、一時的に禁止できる現行規定上のセーフガードを利用し、GMO栽培を拒否するなど、GMOをめぐってこう着状態が続いていた。また、欧州委員会の当初提案では、GMO栽培を禁止する権限を加盟国に付与するとはしているものの、既にEFSAよる評価を得て、EUレベルで安全性が確認されているとして、健康上、環境上の理由を根拠にすべきではないとしていた。(注)
 しかし、今回承認された内容は、同委員会の提案とは異なり、加盟国が除草剤などの農薬耐性品種、生物多様性の保護、または、環境上における悪影響についてのデータ不足などの環境上の理由で栽培を制限または禁止することができるとしており、これにより、こう着状態から脱出できるのではないかとも期待される。
 畜産に目を向けると、現在、飼料用原料価格の高騰が問題となっているが、現在のEUの政策では、価格下落時における価格支持制度(介入買入、輸出補助金など)が主となっていることもあり、価格高騰時の経営支援が十分に行われない状況にある。現地関係者によると、GMO栽培の促進がこれらの問題の解決策の一つになるとしているが、この法案支持により、上記栽培慎重国が一気に禁止に走る可能性もあり、今後の動向が気になるところだ。
【小林 奈穂美 平成23年7月12日発】
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