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条件付きで2大鶏肉パッカーの合併を承認(ブラジル)

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国内事業活動は2年越しの決着

 ブラジルの経済擁護管理審議会(CADE、法務省管下の国内市場独占禁止監督機関)は7月13日、国内第1位の鶏肉パッカー、ペルジゴン社と第2位のサジア社の合併後の新会社(ブラジル フーズ(BRF)社)の国内事業活動に関して、ペルジゴン社の商標使用の一時中止および資産売却の条件付きで、審議員の賛成4、反対1で承認した。
 CADE は、BRF社の事業活動のうち、海外部門(輸出取引、海外市場におけるマーケティング、物流など)については、2009年5月の同社設立(注)から5カ月後の同年10月には承認していた。しかし、国内事業活動については、財務省とともに2年以上にわたり分析を重ねた上、今年6月8日に予定していた裁定も、ラガッソ審議員の反対により4週間延期するなど、承認までに相当の時間を要することとなった。

注:「業界第1位と第2位の鶏肉パッカーが合併(ブラジル)」2009年5月22日付け海外駐在員情報参照

協定によるBRF社の損失は同社の総売り上げの約21%に相当

 交渉の末、主に以下の条件でCADEとBRF社との間に合併承認の協定が締結されることとなった。

1 ぺルジゴン社の商標の一時使用中止
  ハム、ポルトガル・ソーセージ、サラミ、ラザニヤ、冷凍ピザなど9品目において3〜5年間中止、また、
  同社傘下のバタヴォの商標も食肉市場において4年間使用中止
2 資産の売却
  12商標、加工食品10工場、8配給センター、4と畜工場、4飼料工場、12種鶏場、2鶏ふ化用施設の
  売却

 BRF社によると、商標の一時使用中止によって生じる損失は約30億レアル(約1500億円、1レアル≒50円)、また、資産の売却については、17億レアル(約850億円)とみられ、同社の総売上高227億レアル(約1兆1200億円)の約21%に相当するとしている。

一部業界関係者からは、今回の条件付き合併に疑問の声

 BRF社との交渉の先頭に立ったリカルド・ルイス審議員は、ぺルジゴン社商標の一時使用中止などは、新しい企業の進出に対する障壁を除くための唯一の方法であったとしている。同審議員によると、一時使用中止の対象となる商標はブラジル市場における同社の販売高の80%に達する。だが一方で、唯一反対したラガッソ審議員は、商標の一時使用中止の効果を疑問視し、「効果があるかもしれないし、ないかもしれない。それを知るのは今から5年先の話である。この間サジア社の商標が絶対的な座を占め価格の引き上げも起こり得る。今回の協定は果たして十分な措置であろうか。」との憂慮を示した。一部業界関係者の間では、今回の件はCADEの後退であるとする意見や、今後数千の販売店における商標管理をどうするのかなどの疑問の声が上がっている。

BRF社は今回の条件付き合併に満足

 一方、ジョゼ・アントニオ・ド・プラド・ファイBRF社長は、交渉の結果、引き続き総売上高の約79%を維持することができたことから、「今回の協定は、われわれにとって満足のいくものであり、かつ、CADEにとっても不安を排除したものである。」と述べた。市場アナリスト達によると、今回の協定は、CADE が柔軟に承認したものであり、BRF社に期待以上の成果をもたらした。BRF社は傘下の企業を統括し、最高の利益を追求できるとし、ぺルジゴン社の商標使用が一時中止されたとしても、既に販売分野の首位に立つサジア社の商標が市場を肩代りすることができると見ている。この見方を裏付けるように、14日のサンパウロ証券市場におけるBRF社の株価は、前日比9.77%高の1株当たり28.55レアル(約1430円)となった。

資産売却は2012年に行われる見込み

 こうした中、BRF社 が売却する資産に対し、既に関心を示している企業があり、その中にはJBS社、マルフリグ社、タイソン・フーズ社 のほか投資ファンドの名も挙がっている。このほかアラブ圏や中国の投資家が参加する可能性も噂されている。ファイ社長によると、正式の申し入れは未だ無いが電話での問い合わせは既にあるという。買い手については国籍に関係なく、高く買う者もしくは、CADEが望んでいるようにBRF社の強力な競争相手となる者に売りたいとしている。
 今回の協定によると、買い手は6カ月間従業員の雇用を保証し、サプライヤーとの契約を継承せねばならない。なお、売却時期は、買い手との交渉に影響があるとするBRF社の要請により公表されていない。ファイ社長によると、売却は短期的にはできないとして今年は行わず、2012年に行うとしている。また、売却額についても第三者の金融機関が評価を行うとして、公表されていない。
【石井 清栄 平成23年7月20日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
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