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ベトナム、乳牛の輸入について米国と合意

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 ベトナムはこのほど、乳牛の輸入について、米国との間において輸出時の検査等の対策を盛り込んだ家畜衛生条件の合意に達した。これによりベトナムは2012年には乳用未経産牛を2,000頭輸入、2013年にはさらに1,500頭を輸入すると見込まれている。
 
 現在、ベトナム国内では優秀な母牛が確保できないため、母牛の確保のためには輸入に頼る必要がある。ベトナムではこれまでもっぱらニュージーランド(NZ)から輸入しており、輸入先の多様化が課題となっていた。今回の米国との合意により、NZ以外からの輸入についても道筋がつくところとなった。
米国農務省が公表する今回の輸入衛生条件は以下を参照

ベトナム企業、乳業工場に12億ドルを投資

 ベトナムでは近年、所得増加により牛乳の消費が拡大している。ベトナム農業農村開発省(MARD)によると、所得向上に伴い2000年の1人当たりの供給量(生乳換算)は8.09リットルだったのに対し、2010年は17リットルにまで増加している。同国では、このような需要増には乳製品の輸入を増やすことで対応しているものの、需要の伸びに供給が追い付かず、乳製品価格は上昇傾向で推移しており、国内における供給体制の構築が急務となっている。

 こうした中、国内大手の民間乳業メーカーであるTH乳業株式会社は昨年5月、12億ドルを投じて中部ゲアン省において国内最大級ともいわれる乳業工場の建設に着手した。このプロジェクトでは、2017年までに12の生産農場において13万7千頭の乳用牛を飼養するとともに、国内の牛乳需要量の50%に相当する年間50万トンの牛乳生産を可能にすることを目標に掲げている。

 しかし一方で、新工場が完成するまでは、ハノイから70kmに位置するフンイン省にある別の工場へ生乳を運ぶ必要があること、2ケタのインフレ率の中で12億ドルの返済を行わなければいけないことなど、このプロジェクトが軌道に乗るにはさまざまな困難が予想されている。
【藤井 麻衣子 平成23年8月1日発】
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