米国上院議員、米国政府に対して中国および日本との牛肉問題に係る協議実施を要請
スタブナウ上院農業委員長を含む39名の上院議員は8月4日、ヴィルサック農務長官、カーク米国通商代表宛に、中国および日本に対して米国産牛肉の輸入障壁に関する協議を早急に実施することを求める書簡を発出した。
書簡の狙いは米国通商代表部(USTR)発言のフォローアップ
書簡の狙いは、7月7日の上院財政委員会におけるマランティスUSTR次席代表のコメントを後押しすることにある。米韓FTAの模擬審議が同委員会において行われた際、中国および日本との牛肉問題の進展の遅れに不満を有しているパット・ロバーツ上院議員(共・カンザス)より「牛肉問題について、120日以内に中国および日本と協議を行うことを求める」という修正案が出された。その関連で発言を求められたマランティス次席代表は「120日以内に両国と牛肉問題について協議する」とコメントした。ロバーツ上院議員の修正案は否決されたものの、マランティス通商代表部次席代表の発言は言質として記録され、今回の書簡により「120日以内の中国および日本との協議」が念押しされた形となった。
このほか、書簡には「USTRおよび米国農務省(USDA)によるハイレベル協議の継続は、米国産牛肉に対する輸入障壁の撤廃に向けた取り組みを進展させる上で重要であり、韓国との例においても、行政と議会の積極的な取り組みが功を奏した」と記述されており、ハイレベル協議での事態打開に期待が寄せられている。
(注)模擬審議:法案の未提出段階で法案草案を対象に行う審議のこと。
米国の業界団体は早期解決に期待
日米牛肉問題については、昨年9月に日米技術会合が行われた以降、表立った動きは認められていない。しかし、米国の牛肉関係者は牛肉問題の早期解決を期待しており、「震災などの影響で日本の消費者が困っている時こそ、米国政府は日本政府に働きかけて米国産牛肉のアクセスを改善すべきである」との声も聞こえてくる。
マランティス次席代表のコメントを踏まえれば、今後、日米間で協議再開に向けて何らかの動きがある可能性が高く、本件に関する今後の動向が注目されるところである。
【上田 泰史 平成23年8月11日発】
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