米国農務省、2011/12年度のトウモロコシ生産量を下方修正
米国農務省世界農業観測ボード(USDA/WAOB)は8月11日、6月30日公表の「Acreage」で再調査の対象とされた4州の調査結果と、今年初めてとなる全国作況調査に基づく単収予測を踏まえ、2011/12穀物年度(2011年9月〜2012年8月。以下、「年度」)における国内外の主要農作物の需給見通しを公表した。これによると、米国におけるトウモロコシの生産量は、先月の作付面積を据え置いたが収穫面積をわずかに下げて単収も下げたことから、生産予測量が下方修正された。
トウモロコシは生産量を下方修正し、期末在庫を大きく下方修正
トウモロコシの作付面積は、先月は「Acreage」を受けて9228万エーカーとされたが、4州の再調査の結果、作付面積は据え置かれ、収穫面積が8488万エーカーから8439万エーカーにわずかに下方修正された。そして注目された単収は、コーンベルトの多くの地域で7月は高温と少雨となったことから、先月の1エーカー当たり158.7ブッシェルが153.0ブッシェルに下方修正された。これにより生産量も5億5600万ブッシェル下方修正されて129億1400万ブッシェルになると予測された。
一方、消費量のうち飼料等向けは、供給量の縮小と価格の上昇見通しなどから1億5,000万ブッシェルの下方修正と、エタノール向けは暗い景気見通しとガソリン価格の高騰からガソリン消費が減少すると見込まれ5000万ブッシェルの下方修正がされた。また、輸出はトウモロコシの代替需要として小麦の飼料利用が高まるとみて1億5000万ブッシェル下方修正された。この結果、総消費量の減少分より総供給量の減収分の方が大きいことから、期末在庫は1億5600万ブッシェル下方修正され、在庫率は先月の6.4%から5.4%に縮小された。
生産者平均販売価格は、需給ひっ迫感のため先月の値から下値、上値を70セント引き上げて過去最高値となるブッシェル当たり6.20〜7.20ドルになると予測された。シカゴのトウモロコシの先物価格はUSDAの公表とともに25セント近く値を上げた。
大豆は期末在庫を減らし価格は上方修正
大豆の2011/12年度における作付面積は、今回の再調査を受けて主にサウスダコダ州で減少して先月の需給見通しから約140万エーカー下回る7496万エーカーに、そして収穫面積は7382万エーカーに下方修正された。また、今年初めての作況調査による1エーカー当たりの収量は、先月までの過去の実績からの傾向線により割り出した43.4ブッシェルから41.4ブッシェルに下方修正された。この結果、大豆生産量は30億5600万ブッシェルに下方修正された。
国内消費量は、大豆ミールの需要減少見込みから搾油向けが下方修正され、輸出は生産量の減少と南米の今秋の収穫の増産見通しなどから下方修正された。総消費量も下方修正されたものの、総供給量の減少幅の方が大きく、期末在庫は2000万ブッシェル下方修正されて1億5500万ブッシェルと予測された。
これにより、1ブッシェル当たりの生産者平均販売価格は、下値、上値を50セント引き上げて12.50〜14.50ドルになると予測された。シカゴの大豆の先物価格はUSDAの公表直後に40セント近く急騰したがその後20セント近く値を下げて推移している。
【中野 貴史 平成23年8月12日発】
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