フィードロット飼養頭数はわずかに増加、国内向け出荷は大幅増(豪州)
フィードロットからの出荷頭数は前回調査比17.2%の大幅増
豪州フィードロット協会(ALFA)は8月8日、豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)と共同で四半期ごとに実施している全国フィードロット飼養頭数調査の結果(2011年6月期)を公表した。これによると、6月末時点における豪州のフィードロット総飼養頭数は79万2千頭となり、前回調査(3月末)と比較し1.7%増(前年同期比0.2%増)とわずかな増加にとどまった。出荷頭数(4〜6月)は前回調査比17.2%増(前年同期比18.1%増)の66万頭と大幅に増加した。
肥育期間の長い輸出向けから、回転の速い国内向けにシフト
飼養頭数はビクトリア(VIC)州(前回調査比19.4%増)およびクイーンズランド(QLD)州(同2.4%増)で増加した。また、出荷頭数は、QLD州(同25.7%増)、VIC州(同23.2%増)およびニューサウスウェールズ(NSW)州(同8.7%増)の東部3州で増加することとなった。
飼養頭数および出荷頭数の増加は、国内からの引き合いの増加が要因に挙げられる。大手スーパーマーケット間における価格競争などから、牛肉の小売価格は4〜6月で前年同期比3.1%安のキログラム当たり15.58豪ドル(1,366円、1豪ドル=87.65円)と下落し、国内需要の増加をけん引している。
こうしたことから、東部3州では、出荷される肥育牛が輸出向けロングフェッドから、肥育期間が短く回転の速い国内向けショートフェッドやイヤリングにシフトしたとみられる。
一方、西オーストラリア(WA)州では、干ばつや飼料穀物価格高が原因でとう汰が進んだことにより、飼養頭数は前回調査比34.4%減と大幅に減少した。
豪ドル高によってフィードロット肥育業者の収益は減少
素牛価格高や飼料穀物価格高に加え、豪ドル高による収益性の低下から、フィードロット肥育業者は厳しい状況下に置かれている。
4〜6月平均の豪ドルは前年同期比22%高の1.09米ドルと、海外市場における豪州産牛肉の競争力を低下させる要因となっている。輸出需要の不振から、7月には日本向け穀物肥育牛を扱う食肉処理施設が操業を一時停止する事態に追い込まれた。
為替は8月16日時点で1.06米ドルとやや軟化したものの依然高水準で推移している。食肉処理施設の一時停止や従業員の一時解雇などが検討される動きもあることから、牛肉業界の動向について、今後も注視する必要がある。
【伊藤 久美 平成23年8月17日発】
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