2011年(1〜6月)の農業生産は、トウモロコシとサトウキビがけん引(フィリピン)
フィリピン農務省農業統計局(BAS)は、2011年(1〜6月)の農業生産状況を公表した。これによると、農業部門全体における生産額(現行価格)は、前年同期比16%増の7064億ペソ(約1兆4199億円:1ペソ=2.0円)と前年同期を上回った。
耕種部門の生産額は大幅増加
農業生産額の5割以上を占める耕種部門は、同31.1%増の4118億ペソ(約8237億円)と大幅に増加した。
サトウキビの生産は、昨年の干ばつによる減産からの回復により同75.6%増の1960万トンと大幅に増産となった。トウモロコシの生産も、野菜の主産地である中部ルソン地方において、トウモロコシへの作付け変更が進んだことにより、同37.0%増の330万トンと増産となった。トウモロコシとサトウキビの増産が、耕種部門の生産額を押し上げる主因となった。
家畜部門の生産額は減少する一方、家きん部門は増加
家畜部門(牛肉、水牛肉、豚肉、ヤギ肉、生乳)は同1.6%減の1031億ペソ(約2063億円)でわずかに減少する一方で、家きん部門(鶏肉、アヒル肉、鶏卵、アヒル卵)は同0.2%増の778億ペソ(約1556億円)と微増となった。
家畜部門の生産額は、水牛肉(同4.3%減)、豚肉(同2.5%減)および生乳(同0.3%減)が落ち込んだため、前年同期を下回った。
水牛肉の生産は、と畜頭数の停滞による生産の落ち込みが響いた。豚肉は主産地の中部ルソン地方、中部ヴィサヤ地方などにおいて豚の飼養頭数の増加により増産されたものの、生産者販売価格の下落により、豚肉生産額は減少した。生乳生産も、猛暑の影響により、泌乳量が落ち込み、生乳生産量は前年同期と比べ微減となり、8千トンとなった。
家きん部門の生産額の増加は、鶏卵とアヒル卵の生産額が前年同期を上回ったことが主因である。鶏卵およびアヒル卵の生産量は、今年に入り、主産地での飼養羽数の増加に加えて、天候が産卵に適した気温であったため、産卵率が上昇し、前年同期を上回った。
【植田 彩 平成23年8月19日発】
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