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米国農務省の2011/12年度トウモロコシの需給見通しに係る一考察

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 独立行政法人農畜産業振興機構は去る9月9日、米国におけるトウモロコシをめぐる最近の情勢などについて報告会を開催し、米国のトウモロコシの需給予測を行ったところである。
 その後9月12日には米国農務省(USDA)が需給見通しを公表したことから、その結果を踏まえて当機構の需給予測を考察することとする。

米国農務省の9月時点の予測

 米国農務省は今回、2011/12年度(2011年9月〜2012年8月。以下「年度」)における9月1日現在の作況調査に基づいて、生産関連指標を推計している。これによるとトウモロコシの1エーカー当たりの収量は、最大生産州のアイオワ州で10ブッシェル下げるなど、4.9ブッシェル引き下げて148.1ブッシェルとした。収穫予測面積は先月の数値を据え置き、この結果、予測生産量は予測単収と収穫予測面積を乗じて124億9707万ブッシェル(前年同期比0.4%増)と先月の予測から4億1700万ブッシェル下方修正されている。
 また、総供給量については、輸入量が5百万ブッシェル下方修正された結果、4億4200万ブッシェル下方修正されている。一方、総消費量については飼料等向けを2億ブッシェル、エタノール向けを1億ブッシェル、輸出量を1億ブッシェルと、合計4億ブッシェル下方修正された。
 この結果、期末在庫は先月の値から4200万ブッシェル下方修正されて6億7200万ブッシェルとなり、在庫率は先月の5.4%から5.3%へとわずかに下方修正された。

当機構の需給予測の考察

 当機構としては、3つの推計値を算出した。表のALICU(悲観的(2))とALICV(楽観的)における「収穫面積」と「単収」は、過去10年間における8月時点の予測値と確定値の比率(確定値/8月予測値)について異常値を排除した上で、平均値を上回ったデータおよび平均値を下回ったデータのそれぞれの平均値で算出した。また、ALICT(悲観的(1))の「単収」については、8月下旬にトウモロコシの作況調査を行った米国のコンサルタント・プロファーマー社が公表した推測値を利用し、「収穫面積」はALICUと同値を用いた。
表 USDA
 USDAの9月予測では、単収は、傾向値で算出したALICUを下回り、ALICTに近い数値が出されたが、期末在庫率は5.3%とALICTとUを大きく上回っている。
 USDAは単収を下方修正し、総供給量を4億4200万ブッシェル下方修正したが、同時に、消費についても飼料等向けが2億ブッシェル、エタノール向けが1億ブッシェル、さらに輸出が1億ブッシェル、合計4億ブッシェル下方修正している。
 その結果、期末在庫は8月予測の値から4200万ブッシェル下方修正されるにとどまり、在庫率は5.3%と5%台を維持している。

 また、今回の予測では収穫面積が据え置かれたが、次回10月12日に公表されるUSDAの需給見通しでは、例年どおり収穫面積の修正が見込まれている。8月に実施した当機構の現地調査においても、受粉期の高温乾燥によりトウモロコシの成長障害が確認されており、収穫面積が下方修正される可能性が高い。収穫面積の減少は生産量の減少を引き起こし、さらなる供給不足が懸念されるところである。

 供給量の減少は、需給をひっ迫させ価格の上昇要因となるが、価格が高騰すると需要が減退するのも事実である。実際、飼料需要でもエタノール需要でも、一部では現状の価格で既に需要の減退が起きている。USDAの10月の需給見通しがどうなるか、それを受け価格がどのように反応するか、今後のトウモロコシの動向からは当分目が離せない。
【中野 貴史 平成23年9月14日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
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