2011/12年度のトウモロコシおよび大豆の生産は順調にスタート(ブラジル)
ブラジル食糧供給公社(CONAB)は10月6日、2011/12年度(10月〜翌9月)の第1回主要穀物状況調査報告を発表した。CONABによると、南部および中西部の主生産地では、第1期作トウモロコシのは種は50〜60%終了、同じく大豆も30%終了と生産が順調に進んでいることがわかった。2011/12年度の生産量は、トウモロコシが前年度比0.3%減〜2.6%増の5732万7000〜5898万9300トン、大豆が同4.2〜2.7%減の7218万7400〜7329万5500トンと予測している。いずれも作付面積は増加するとみられるものの、今後、懸念されるラ・ニーニャの影響などによる単収の減少から、記録的な生産量となった昨年度とほぼ同じ生産量となると予測している。
2010/11年度に記録的生産をもたらした要因
同報告によると、2010/11年度は、肥料の販売量およびそれに伴う原料の輸入量が増加したという。肥料に関して、2011年1〜8月の肥料販売量は前年同期比25.6%増の1705万トンとなった。このことにより、同年の販売量は前年比8.0%増の2650万トンと、過去最高となる可能性が推測される。肥料原料の輸入量も大幅に増加しており、前年同期比45%増の1290万トンとなった。中でも、第2期作トウモロコシや大豆などの生産に対する需要から、窒素(前年同期比25.6%増の189万トン)、リン酸塩(同26.2%増の240万5000トン)およびカリウム(同25.3%増の215万3000トン)の需要が大幅に伸びている。
2010/11年度は、天候がトウモロコシや大豆といった作物にとって好適な条件であったことに加え、肥料が大量に使用されたことから、単収が高く、記録的な生産量となったとみられる。
トウモロコシ 第1期作の生産量は増加する一方、第2期作は減産の予測
CONABは、トウモロコシに対する高い需要と好調な価格および天候を考慮して、2011/12年度の作付面積は前年度比2.5〜4.6%増の1418万4300〜1447万6700ヘクタール、単収は同2.4%減の1ヘクタール当たり4.056トン、生産量は同0.3%減〜2.6%増の5732万7000〜5698万9300トンと予測している。
ブラジルでは南部を中心とした第1期作トウモロコシ、および大豆の後に作付される中西部やパラナ州を中心とした第2期作の生産が行われる。第1期作は、作付面積が同4.2〜7.2%増の824万5000〜848万6800ヘクタール、単収が同3.3%減の1ヘクタールあたり4.391トン、生産量が同0.2〜4.3%増3598万3000〜3747万8400トンと予測している。主生産地であるリオグランデドスル州やパラナ州では8月には種が開始され、10月19日の時点で、今年度、予定されるは種面積の半分以上が終了している。この地域の10〜12月の天候予測によると、ラ・ニーニャ現象の影響により、降雨不足の可能性があるとされ、中でも、リオグランデドスル州の作付面積は同3.0〜7.0%増の113万2200〜117万6100ヘクタールであるものの、単収が同13.4%減の1ヘクタール当たり4.55トン、生産量が同10.8〜7.4%減の515万1500〜535万1300トンと大幅な減産が予測している。
第2期作は、作付面積が同0.3〜1.1%増の593万9300〜598万9900ヘクタール、単収が同1.4%減の3.592トン/ヘクタール、生産量が同1.1〜0.4%減の2134万4000〜2151万1000トンと予測している。ただし、今後の天候、トウモロコシの在庫量、前作の大豆の作付や生育の状況、第1期作のトウモロコシの生産動向などに影響を受けるため、今回の予測はあくまでも目安と考えた方がよさそうだ。
大豆 作付面積は増加するものの、単収が減少する見込み
CONABは大豆の状況について、作付面積は2.0〜3.5%増の2465万8100〜2503万9200ヘクタールであるが、単収は天候を考慮して同6.0%減の2.927トン/ヘクタール、生産量が同4.2〜2.7%減の7218万7400〜7329万5500トンと、過去最高の生産量であった昨年度を若干下回る予測としている。昨年度の天候が大豆生産にとって非常に適していたことが昨年度の豊作の理由である。一方、地域によって、作付面積の伸びが少ない理由として、今年度は、競合するトウモロコシの需要や価格が好調なことと、連作障害を避けるため輪作の必要があることが挙げられた。
ブラジルでは大豆の作付に関して、さび病などほ場の病原体を撲滅するため、「何も植えてはいけない期間」(Vazio Sanit?rio)を各州によって定めている。主生産地であるマットグロッソ州やパラナ州では今年、6月15日〜9月15日の期間では種が禁止された。例年、大豆のは種は10月〜12月中旬に集中して行われ、今年度は10月19日時点で約30%が終了している。
収穫に大きな影響を与えるさび病に関しては、作付が開始されたばかりであり、今のところ影響は出ていない。
【岡 千晴 平成23年10月26日発】
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