畜産 畜産分野の各種業務の情報、情報誌「畜産の情報」の記事、統計資料など

ホーム > 畜産 > 海外情報 > 2011年 > 韓国豚肉需給の現状と今後の見通し(2011年10月現在)

韓国豚肉需給の現状と今後の見通し(2011年10月現在)

印刷ページ
 韓国農村経済研究院(KREI)農業観測センターが10月25日に公表した2011年11月号の畜産観測(豚編)に基づき、韓国の豚肉需給の現状と今後の見通しを報告する。

2012年3月の飼養頭数は口蹄疫発生前の9割まで回復の見込み

 9月の豚飼養頭数は、前年同月比21%減となったものの、母豚頭数の回復(6月比5%増)により、6月比では6%増の778万3千頭となった。12月は、前月の予測から30万頭上方修正され、9月比3〜4%増、前年同月比18〜19%減の800〜810万頭と見込まれる。
 2012年3月は、前月の予測から25万頭上方修正され、12月比3%増、前年同月比17〜18%増の825〜830万頭と、過去5年平均(2005〜2009年)の飼養頭数の約9割水準まで回復するとみられるが、韓国側の批准を残すのみとなっている韓米FTAが、今後生産者の生産規模回復の足かせになるとの見方もある。

表1 豚養育頭数の推移(単位:千頭)

 

 6月

9月 

12月 

3月 

 2011〜12年(A)

7,330

7,783

8,000-8,100

8,250-8,350

 2010〜11年(B)

9,728

9,901

9,881

7,036

A/B (%)

75%

79%

81%-82%

117%-119%

資料:韓国農村経済研究院(KREI)農業観測センター

 注:2011年12月以降は農業観測センターの予測値


豚肉生産量は回復傾向 

 2011年9月のと畜頭数は、前年同月比21.6%減の89万頭と10カ月連続で前年を下回ったが、前月比では1%増となった。また、11月〜来年4月のと畜頭数は前年同期比3.1%減の608万頭と見込まれ、飼養頭数の増加に伴い、9月以降もおおむね前月より増加傾向で推移するものとみられる。
 なお、11月〜来年4月の豚肉生産量は、と畜頭数の減少により前年同期比2.4%減となるものの、9月以降は月平均2%前後の回復傾向で推移すると見込まれている。

表2 豚と畜頭数(単位:万頭)

年\月

1

2

3

4

5

6

7

8

9

10

11

12

2009

113

112

119

115

103

113

114

111

125

115

124

129

2010

120

114

133

123

117

117

115

118

113

129

137

127

2011

98

79

95

91

87

78

72

89

89

96

103

102

平年

117

108

117

116

111

108

109

112

114

124

128

124

2011/10(%)

82

69

71

74

74

67

63

75

79

74

75

80

資料:国立獣医学科検疫院、農業観測センター
 
注1:2011年10月以降(斜体)は農業観測センターによる予測値
   
2:平年値は2006〜2010年の5年間の最低、最高値を除いた平均値

枝肉価格は国内需要回復により上昇傾向

 枝肉価格は、中秋(韓国のお盆)の需要の反動による消費の低下により、弱含みで推移し、10月(23日まで)の枝肉価格は、輸入豚肉在庫の積み増しや出荷頭数の増加により、前月比17.1%安の1キログラム当たり4,465ウォン(321円:100ウォン=7.2円(10月末TTSレート))となった。
 11〜12月の価格については、季節的な需要の増加により、前月比3.0〜7.5%上昇の4,600〜4,800ウォン(331〜345円)と見込まれる。
1

9月の豚肉輸入量は前年同月比76.4%増

 2011年9月の豚肉全体(HSコード:0203)の輸入量は、前月比では4.7%増、前年同月比では76.4%増の3万5750トンと、9カ月連続で前年を大きく上回った。
 このうち、冷蔵豚肉(同:020319)は、前年同月比226.8%増の2,778トンとなった。冷凍豚バラ肉(同:0203291000)は、ドイツが前年を10倍以上上回るなどしたことから、前年同月比124.4%増の1万3976トンとなった。9月中旬以降、主要輸入先国の枝肉価格が9月17日と10月8日の基準を比較すると、米国3.8%、カナダ7.3%、EU0.4%と上昇しており、今後の輸入動向に影響するとみられる。
 なお、今年11〜来年4月の輸入量は、国内豚肉価格の下落や為替レートの引き上げなどにより、前年同期を32%下回ると見込まれている。
1

 表3 豚肉各部位別の国別輸入量(単位:トン、%) 

 

冷蔵バラ肉

冷凍バラ肉

冷凍その他

9月

1〜9月

9月

1〜9月

9月

1〜9月

全体

輸入量

1,392

12,883

13,976

98,612

18,976

278,761

前年同期比

160.7

127.7

124.4

53.7

43.9

98.5

1位

国名

カナダ

カナダ

ドイツ

ドイツ

米国

米国

輸入量

641

5,589

3,602

15,365

6,332

120,542

前年同期比

168.2

85.6

1,116.9

1,017.5

51.4

130.8

2位

国名

米国

米国

デンマーク

オーストリア

カナダ

カナダ

輸入量

427

4,239

1,706

14,191

3,542

55,935

前年同期比

125.9

107.8

3,454.2

51.7

13.2

53.7

3位

国名

チリ

チリ

オランダ

オランダ

チリ

スペイン

輸入量

151

1,206

1,375

12,905

2,428

21,207

前年同期比

77.6

147.6

19.6

40.0

11.6

97.4

 資料:Global Trade Atlas
【藤井 麻衣子 平成23年11月2日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
Tel:03-3583-9532