消費者がより健康を意識した食品の選択および判断できる食品表示へ
欧州理事会は9月29日、新たな食品表示規則について採択した。11月末までに官報に公示され、公示日から20日後に発効される予定である。2008年に欧州委員会が、域内における統一の食品表示の提案をしてきたものがようやく採択され、これにより域内を流通する対象の食品は統一の食品表示が適用されることとなった。
新らたな食品表示規則は、官報公示後3年以内に適用し、栄養表示は5年以内に適用することしている。しかしながら、栄養表示は、自主的に3年以内に適用することとしている。
消費者が選択・判断が可能な食品表示へ
新たな食品表示規則は、消費者保護と生産者・製造者保護の双方を目的としている。消費者は、新たな食品表示により、食品の情報から自ら食品を判断および選択することによる健康促進やそれぞれの健康状態、社会、環境および倫理などに基づいた食品選択が可能となるとし、一方で生産者や製造業者などは、域内における合法的で自由な物流の中で、新たな表示による情報提供により正当な利益を保護し、高品質の製品の生産を促進することができるとしている。
新たな食品表示規則は、栄養表示の義務付けと原産国表示の対象品目の追加などである。栄養表示については、100グラム(あるいは100ミリリットル)当たりのエネルギー量、脂質量、飽和脂肪酸、炭水化物、タンパク質、砂糖および塩の含有量の表示を義務化している。
原産国表示の拡大
また、原産国表示の対応については、現在、消費者が間違いやすい牛肉、果実、野菜、はちみつおよびオリーブオイルが義務化されているが、今回はそれに加え、新たに生鮮の豚肉、羊肉、ヤギ肉および家きん肉が加えられる。表示は、原産国名もしくは地名で表示する必要がある。
また、これらの食材を使った加工品に対しての表示の義務化については、2年以内に、生鮮以外の肉類、牛乳および乳製品などについては3年以内に欧州委員会が採用する施行規則を検討することとしている。
新たな食品表示規則の適用により、製造業者や流通業者は製造コスト、あるいは流通コストが上昇する懸念を持っている。そのコスト増が消費者価格に反映された場合、消費動向に影響する可能性があることから、施行後の消費動向を注視する必要がある。
【矢野 麻未子 平成23年11月4日発】
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