2011年9月末のフィードロット飼養頭数はすべての州で減少(豪州)
飼養頭数、出荷頭数、稼働率はともに減少
豪州フィードロット協会(ALFA)は11月7日、豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)と共同で四半期ごとに実施している全国フィードロット飼養頭数調査の結果(2011年9月期)を公表した。これによると、9月末時点におけるフィードロット総飼養頭数は71万4千頭(前年同期比6.8%減)と、2期連続の増加となった前回調査(6月末)から一転して、9.9%の減少となった。出荷頭数(7〜9月)も64万7千頭と、前回調査から2.0%減、前年同期比では8.9%の減少となった。フィードロットの稼働率についても2期連続の上昇から一転して、57.0%に低下した。
飼養頭数はすべての州で減少
今回の調査では、飼養頭数はすべての州において前回調査時から減少した。
肉牛生産地である東部州では、最大の産地であるクイーンズランド(QLD)州が3万1千頭減(前回調査比7.0%減)、ニューサウスウェールズ(NSW)州が1万7千頭減(同6.8%減)、ビクトリア(VIC)州が1万6千頭減(同26.1%減)となった。これらの州では、豪ドル高による輸出需要の低迷に加え、素牛価格高や飼料穀物価格高を背景とした大手フィードロットの規模縮小などが、飼養頭数減につながった。
西オーストラリア(WA)州は、国内全体の収容能力におけるシェアは7.5%と小さいものの、減少幅は1万2千頭減(同79.5%減)と大きい。同州では前年度の干ばつの後、今年6月以降にまとまった降雨を得て牧草の生育状況が好転し、素牛需要がひっ迫したことから、フィードロットの飼養頭数が減少した。
生産コスト増や輸出需要の低迷により依然として厳しい状況
今期(7〜9月)の素牛価格は、放牧環境が良好なことから素牛需要が高まって、前年同期比6%高と高値で推移した。一方、国内の飼料穀物価格は、2010/11年度の穀物生産が増産となったにも関わらず、国際的なとうもろこし価格高から、前年度と同程度で推移している。こうした生産コストの増加により、フィードロット業者の収益性は低下している。
また、今期、豪ドルは米ドルに対して高値で推移し、対米ドル平均為替は前年同期比16.1%高の1豪ドル当たり1.05米ドルとなった。豪ドル高、米ドル安の影響から、豪州産牛肉は輸出市場で米国産と競合し、特に、豪州の穀物肥育牛の主要市場である日本で豪州産牛肉の需要が低下した。MLAによると今期の穀物肥育牛輸出量は日本向けが前年同期比19%減、全体では同8%減の5万5千トンとなった。
輸出が中心のフィードロット産業では、輸出需要の低下している状況下では生産コスト増を輸出価格に転嫁することは難しく、厳しい状況となっている。MLAのティム・マクレー市場分析マネージャーは、欧州債務問題など世界経済が不安定な状況で豪ドルが高値で推移する状況下では、フィードロット業者や輸出業者は今後、素牛価格や飼料穀物価格が改善されることを望んでいると分析している。
【伊藤 久美 平成23年11月14日発】
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