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韓国鶏肉需給の現状と今後の見通し(2011年11月現在)

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 韓国農村経済研究院(KREI)農業観測センターが11月25日に公表した2011年12月号の畜産観測(ブロイラー編)に基づき、韓国の鶏肉需給の現状と今後の見通しを報告する。

飼養羽数は3カ月連続で前年を上回る

 2011年11月の素ひな生産羽数は4807万羽と、前年同月比0.8%増加したことから、12月のブロイラー羽数は、前月の予測より1409万羽上方修正の同2.4%増の7977万羽と、3カ月連続で前年を上回ると見込まれる。
 また、11月のブロイラー出荷日齢は31.63日と前月より早まったものの、出荷体重は1.60キログラムと前月より増体した。
 
機構注:韓国のブロイラーは参鶏湯(サムゲタン)に代表される伝統的なスープ用途が多いため、小さい鶏を好む傾向がある。そのため、日本のものと比べ出荷体重は1キログラム以上軽い。

表1 素ひなの生産状況

 

生産羽数(万羽)

前月比(%)

9月 

 10月

11月 

10月/9月 

 11月/10月

 2011年(A)

4,289

4,473

4,807

104.3

107.5

 2010年(B)

4,161

4,399

4,768

105.7

108.4

 A/B(%)

103.1

101.7

100.8

資料:大韓養鶏協会

注:2011年9、10、11月は配合飼料生産量から推定している。


 

表2 ブロイラーの飼養羽数の見通し

 

飼養羽数(万羽)

前月比(%)

 10月

11月 

12月 

11月/10月 

 12月/11月 

 2011年(A)

6,142

5,816

7,977

94.7

137.2

 2010年(B)

5,925

5,781

7,787

97.6

134.7

 A/B(%)

103.7

100.6

102.4

-

-

資料:韓国農村経済研究院(KREI)農業観測センター、統計庁

注:2010年および2011年12月は統計庁発表値、その他は農業観測センター推定値

食鳥処理羽数は前年並み

 12月の食鳥処理羽数は、飼養羽数の増加により前年同月比3.2%増の6398万羽と見込まれる。今後の処理羽数は、素ひなの生産羽数が来年1月は同7%増、2月は同4.2%増と見込まれる。このため、1月の処理羽数は5837万羽(同4.3%増)、2月は4485万羽(同5.9%増)と、2012年5月までの鶏肉供給量は前年を上回ると見込まれる。

表3 食鳥処理羽数の推移(単位:百万羽)

 

1

2

3

4

5

6

7

8

9

10

11

12

2009

44

45

50

55

60

69

83

65

57

49

48

55

2010(A)

48

46

54

59

66

74

86

64

55

54

57 

62

2011(B)

57

42

53

59

73

79

86

71

58

58

57

64

 B/A(%)

119

91.3

98

100

110.6

106.8

100

110.9

105.5

107.4

100

103.2

資料:農林水産食品部
注1:2011年11月以降は農業観測センターの推定値

  2:58月は需要期

来年1〜2月の生体価格は前年を最大25%下回る

 生体価格は、供給量の減少により11月初旬は上昇傾向で推移し、11月(24日まで)の生体価格は、前年比3.8%高の1,708ウォン(120円:100ウォン=7.06円(11月末TTSレート))となった。KREIの11月号の予測では、11月の価格は豚肉の代替需要の減少により、前年を下回るとした。しかし、11月の価格は、飼料や燃料費などの生産コスト増が響き、前年を上回ることとなった。
 なお、今後の生体価格については、食鳥処理羽数の増加や放出積増された在庫量による供給量の増加の影響と、クリスマスシーズンを控え需要が増加することも見込まれることから、12月はキログラム当たり1,500〜1,700ウォン(105〜120円)と、横ばい相場と見込まれる。また、来年1〜2月は、季節需要の消費増加が期待される一方で、インテグレーターによる生産増や在庫量のさらなる放出により、同1,600〜1,800ウォン(112〜127円)と、1月は前年比4〜15%安、2月は15〜25%安と見込まれる。
1

鶏肉輸入量は前年並み水準

 鶏肉の輸入量は、無税枠が設定された5月をピークに、下落基調で推移した。2011年10月の鶏肉全体(HSコード:0207)の輸入量は、国内価格上昇により前月比18.8%増となったものの、ウォン安などの影響を受け前年同月比では17.9%減の7,216トンとなった。
 このうち、大半を占める冷凍鶏肉(同:020714、分割されたもの)の輸入量は、米国(前年同月比15.5%減)やブラジル(同20.2%減)などの主要国からの減少により、前年を15.9%下回る7,050トンとなった。
 11月13日現在の国内在庫量は、前年を41.6%上回る高い水準にある。このような中、国内価格は前年より高い水準にあるが、ウォン安などの影響を受け、12月の輸入量は前年並みの6,500トンと見込まれる。
 現在、韓国の鶏肉輸入の国別シェア(2010年実績)は、米国が6割、ブラジルが3割と、2カ国で全体の9割を占めている。大韓養鶏協会は12月6日、米国とのFTAについて、市場価格が生産コストを下回っている現状に追い打ちをかけて、政府による価格安定対策がなければ、鶏肉産業の生き残りが一層厳しくなると悲観的な見解を示した。
2

表4 冷凍鶏肉各部位の国別輸入量

 

モモ
(HS:0207141010)

ムネ
(HS:0207141020)

手羽
(HS:0207141030)

10

110

10

110

10

110

全体

輸入量

6,122

86,173

529

5,113

205

5,893

前年同期比

▲ 12.6

37.1

▲ 2.2

4.8

▲ 65.0

9.6

1

国名

米国

米国

ブラジル

ブラジル

ブラジル

ブラジル

輸入量

4,612

73,595

426

4,861

85

3,482

前年同期比

▲ 15.2

72.6

▲ 20.1

7.0

▲ 71.9

▲ 5.4

2

国名

ブラジル

ブラジル

米国

米国

デンマーク

デンマーク

輸入量

1,419

12,040

103

248

120

2,107

前年同期比

▲ 9.1

▲ 39.5

1,044.4

490.5

▲ 54.2

29.5

3

国名

デンマーク

デンマーク

チリ

チリ

米国

ハンガリー

輸入量

24

240

0

0

0

211

前年同期比

-

▲ 13.7

-

-

-

201.4

資料:Global Trade Atlas
【藤井 麻衣子 平成23年12月14日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
Tel:03-3583-9532