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2011年の農業生産者収入は前年に引き続き増加

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 EU統計局(EUROSTAT)が今般公表したEU農業生産者の収入に関する統計によると、2011年のEUの農業生産者一人当たりの農業労働投下を加味した農業収入は、前年比6.7%増と前年に引き続き増加した。これは、農業実収入が3.9%増加となり、かつ農業労働費が2.7%減少したためである。このうち農業実収入は、直接支払いなどの助成金の減少(▲1.2%)、減価償却の減少(▲0.1%)と、生産費が9.7%増加したにもかかわらず、生産者価格が7.5%増加と好調だったことが増加につながったとしている。

ルーマニア、ブルガリアなど19カ国で増加

 農業実収入の増減を加盟国別に見ると、27カ国のうち19カ国が増加となっている。加盟国のうち一番増加した国はルーマニアで、43.7%の増加となっている。このほかルーマニア(41.8%)、ハンガリー(41.8%)、アイルランド(30.1%)のほか6カ国が大幅に増加している。一方、減少した国は8カ国で、ベルギー(▲22.5%)、マルタ(▲21.2%)では大幅に減少している。
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畜産物の生産額は7.8%増加

 生産額を見ると、耕種作物では8.0%の増加、畜産物では7.8%の増加となっている。これは、ともに生産者価格、生産量が増加したことによるものである。
 耕種作物では、生産者価格は、特に穀物(18.9%)、菜種(18.4%)で大幅に上昇し、生産量もほとんどの分野で増加したことから、全体では生産者価格が5.4%上昇し、生産量は2.5%増加した。
 畜産物では、生産者価格は上昇しており、牛乳は9.1%、家きん肉は8.7%、牛肉は8.6%、豚肉は4.3%上昇した結果、全体では6.7%上昇した。また、生産量も鶏卵(▲0.9%)以外は増加しており、家きん肉は1.9%、牛肉は1.5%、牛乳乳製品は1.1%の増加が見られ、畜産物全体では1.1%の増加となっている。

農業者団体は満足しているものの低水準であると指摘

 欧州農業者団体である欧州農業組織委員会/欧州農業協同組合委員会(COPA/COGECA)では、上記の公表を受けて、満足しているものの、「農業生産者収入の6%台の増加は喜ばしいことであるが、最近の穀物相場の下落などを受けて、生産者は、これらに耐えられるための備えが必要であることを勘案すると、低水準である。また、最近のユーロ地域の経済危機の影響も出ており、特に食肉分野における影響は大きいことから、今後も欧州委員会に対して、生産者が将来に向けて投資ができるよう、強靭で革新的なCAP改革をするよう求めていく」とコメントしており、6.7%の増加は低水準だとしている。
 EUROSTATによると、2011年の生産費の上昇は、飼料費(16.8%)、肥料費(14.6%)、燃料費(11.8%)の大幅な上昇によるものとしている。飼料費の高騰は落ち着きを取り戻したものの、肥料費の高騰は続いており、生産費を圧迫している。これと併せて、ユーロ安の更新が続いていることから、COPA/COGECAの指摘のとおり、今後の生産者価格や農業収入への影響が注目される。
【小林 奈穂美 平成24年1月16日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
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