洪水の影響は限定的〜2011/12年度の冬穀物生産〜(豪州)
2011/12年度の冬穀物生産量、4543万7千トンへ上方修正
豪州農業資源経済科学局(ABARES)は2月14日、冬穀物および夏穀物の生産見通しを発表した。これによると、2011/12年度(7〜翌6月)における冬穀物の生産量は、主要生産地である西オーストラリア(WA)州の生産量が前年を2倍ほど上回る見込みから、前年度比6.9%増の4543万7千トンと、過去10年間で最高が予測される。前回予測(2011年12月)からも2千トンほど上方修正した。品目別では、小麦が同5.8%増(2951万5千トン)、大麦は同1.0%増(857万2千トン)、カノーラは同16.5%増(277万5千トン)と、いずれも増加するとみられる。
今年2月上旬に、ニューサウスウェールズ(NSW)州北部およびクイーンズランド(QLD)州南部で発生した洪水の影響については、多くの地域で冬穀物の収穫を終わらせていたことから、豪州全体への影響は大きくないとしている。ただし、洪水の発生したNSW州では、冠水などの影響を受けた農家が多いとみられ、同23.1%減の1167万5千トンと、前回調査からも20万トンほど下方修正した。
また、WA州を除く州では、昨年が記録的増産であった反動から、土壌中の窒素量が低下しており、小麦のたんぱく質含有量の低下が懸念されている。このため、製粉用の規格に満たない小麦が、飼料用や工業用に回る割合が高まることが見込まれる。
輸出量は、大麦が8.2%増(580万5千トン)、小麦が同19.9%増(2230万トン)、カノーラが同30.4%増(199万5千トン)と、いずれも増加するとみられる。これは、インドネシアを含むアジア圏からの引き合いが、引き続き強まる見込みからである。
2011/12年度の夏穀物生産量は、5000万トン超の見込み
2011/12年度における夏穀物の作付け面積は、前年度比3.6%増の156万7千ヘクタールと見込まれる。春〜夏期に降水量に恵まれ、作付けが順調に行われたためである。また、夏穀物への洪水の影響についてABARESは、詳細な把握は時期尚早としながらも、冠水は低地などの一部地域にとどまるとみられることから、豪州全体の生産には大きな影響はないとしている。
このため、夏穀物の生産量は、同17.9%増の540万5千トンを見込んでおり、ソルガムが同12.7%増(233万1千トン)、コメが27.1%増(92万3千トン)と、いずれも増加すると見込まれる。
一方、綿実の生産量は、前年度を20.3%上回るものの、NSW州の主要生産地であるグワイダー、ナモイ、マンギンジ地域で冠水の影響がみられることから、前回調査からは9万トン下方修正した。
【岡田 岬 平成24年2月17日発】
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