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2011/12年度の肉牛・羊経営の粗収益、9年ぶりの高水準の見込み(NZ)

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2011/12年度の1戸当たり収益は13万3800NZドル

 ビーフ・アンド・ラム・ニュージーランド(BLNZ)によると、2011/12年度(7〜6月)における肉牛・羊経営の一戸当たり粗収益(税引前)は、前年度比17.6%増の13万3800NZドル(935万円、1NZドル=70円)と、2001/02年度以来の高水準となることが見込まれる。
 この良好な収益の要因は、収入増によるものである。一戸当たりの収入は、羊の分娩状況が良好で、販売頭数が昨年よりも増加することなどから、同8.4%増の46万8300NZドル(3272万円)と見込まれる。一方支出は、肥料代の単価上昇や使用増など物財費の増加により、同5.1%増の33万4500NZドル(2337万円)と過去最高が見込まれる。
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9年ぶりの高水準も酪農の水準には届かず

 近年NZにおいては、その収益性の差を背景に、肉牛・羊から酪農への転換が進んでいる。2011/12年度の肉牛・羊経営の粗収益は、上述のとおり2001/02年度以来の高水準の見込みとなっているが、酪農経営の過去5年間(2006/07〜2010/11年度)の平均である一戸当たり19万9200NZドル(1392万円)と比較すればまだ低い水準である。1ヘクタール当たりの収益性で見るとさらに差は大きく、肉牛・羊経営の2011/12年度の値が203.7NZドル(1万4200円)であるのに対し、酪農経営の過去5年平均は1514.9NZドル(10万5800円)と、肉牛・羊経営から酪農へと転換が進んでいる状況を裏付けている。

2011/12年度の牛肉輸出量、前回予測からわずかに上方修正

 BLNZは、牛肉の輸出見通しについても公表した。2011/12年度(10〜9月)の牛肉輸出量(船積重量ベース)は、前回予測(2011年9月)の36万9000トンからわずかに上方修正され、前年度比4.5%増の37万2300トンと見込んでいる。この主な要因は、生乳生産の拡大による乳用経産牛(廃用牛)のと畜頭数の増加としている。また、気象条件に恵まれて増体重が良いことから、枝肉重量が前年度比2.8%増の258.2キログラムと見込まれていることも背景にある。
 ただし、牛肉1トン当たりのFOB単価は5,695NZドル(39万7900円)と、前年度を2.4%下回ると見込んでいる。
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【前田 昌宏 平成24年3月22日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
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