韓国豚肉需給の現状と今後の見通し（2012年5月現在）

　韓国農村経済研究院（KREI）農業観測センターが5月25日に公表した2012年6月号の畜産観測（豚編）に基づき、韓国の豚肉需給の現状と今後の見通しを報告する。

　3か月毎の今後の予測では、引き続き母豚数の増加が持続されるため、6月は前回の見通しどおり930〜940万頭(3月比5.1〜6.2％増)と見込まれる。これらは、口蹄疫（FMD）の被害が比較的小規模であった地域（忠清南道など）の頭数増加に加え、被害の大きかった地域（京畿道など）においても経営の再開が進んだことが一因である。9月は猛暑が予測されていることから、増加傾向は緩やかになり、960〜970万頭（6月予測比3.7％増）と、2010年のFMD発生以前の水準に近づく見通しである。

　2012年4月のと畜頭数は、前月比11.8％減、前年同月比14.3％増の104万頭となった。 6〜11月のと畜頭数は、飼養頭数の回復から増加し、前年同期比41.0％増の749万頭と見込まれる。

　5月の枝肉価格は、前月比9.6%高の1キログラム当たり4,556ウォン（315円：100ウォン=6.89円）となった。
　この価格の上昇要因は、今年4月は、日中の気温が平年に比べ高く、夜との温度差が大きかったことから、豚の発育に影響を及ぼし、4〜5月の国内供給量が見込より大きく下回ったためである。
　6月はこの出荷頭数の減少傾向が継続されるとの見込みから前回見通しより300ウォン高の同4,900〜5,100ウォンと予測される。
　7月〜8月の枝肉価格は、一転して、国内産豚肉の供給量が増加するとの見込みにより、同4,400〜4,700ウォンと見通されている。
　9月〜10月の枝肉価格は、国内産豚肉の供給量増加に加え、需要減少期のため同3,300〜3,600ウォンと見通されている。

　2012年の4月の豚肉輸入量（HSコード：0203）は、前年同月比42.7％減の2万9,615トンとなった。
　また、今後、国内の供給量の増加による豚肉在庫の拡大と輸入豚肉の販売不振により6〜11月の輸入量は前年同期より41.0％減少し、10万トン前後になると予測されている。
　政府は、5月下旬以後に豚の枝肉価格が1キログラム当たり5,000ウォンを超えて推移している中、需要期である夏の行楽シーズンを迎えると価格が急騰する見込みから、6月末までに1万トン（冷蔵・冷凍バラ肉用）の無税枠の追加輸入を決定した。
　この措置は、第2四半期（4−6月期）で、政府が市場の需要によって5万トンまで無税枠での追加輸入が可能なオプションを適用したもので、業界団体は、この措置に反発している。