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2011/12年度の夏作物生産はほぼ終了、生産量は前年度から2割増の見込み(豪州)

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2011/12年度の夏作物生産量は、ソルガム、綿実、コメのいずれも増加

 豪州農業資源経済科学局(ABARES)は6月13日、冬作物および夏作物の生産見通しを発表した。これによると、2011/12年度(7月〜翌6月)の夏作物は、6月上旬に収穫作業がほぼ終了し、作付面積は156万7千ヘクタール(同3.6%増)、生産量は545万5千トン(同19.0%増)と予測され、ほぼ前回の予測(2月)どおりの結果となった。夏作物の主産地である豪州東部で、春から夏にかけて降雨に恵まれたことから、主要作物は概ね増産が見込まれる。2012年1〜3月にかけてニューサウスウェールズ(NSW)州やクイーンズランド(QLD)州、ビクトリア(VIC)州で発生した洪水の影響については、一部のほ場でみられたものの、全体としては大きなものとはならなかった。
 主要作物別では、ソルガムは作付面積が63万2千ヘクタール(前年度比6.2%減)と減少が見込まれるものの、単収増を反映して、生産量は234万3千トン(同13.3%増)と大きく増加が見込まれる。
 綿実は、作付面積は60万ヘクタール(同1.7%増)とわずかな増加にとどまったが、かんがい地域での作付増による単収増加から、152万7千トン(同20.3%増)と、大幅な増加の見込みとなった。
 コメは、生産地域でかんがい用水が潤沢であったことから、作付面積は10万9千ヘクタール(同45.3%)と大幅に増加した。これを反映し、生産量は95万5千トン(同31.5%増)となった。
 

2012/13年度の冬作物生産量、小麦と大麦は前年度から大幅減

 2012/13年度の冬作物は、現在、は種期間が終盤にさしかかっている。作付面積は、乾燥気味の気候や穀物買取価格の低下を反映して、2220万ヘクタール(前年度比1.6%減)とわずかに減少が予測される。生産量は、2年連続の大豊作となった前年度と比較してかなり大きく減少し、3846万9千トン(同15.4%減)と予測される。
 冬作物のシーズンは、主要生産地域の多くで乾燥気味の気候の中での開始となった。地域別にみると、小麦の最大の産地である西オーストラリア州で4月から5月にかけて降水量が平均を下回り、播種とその後の生育状況は芳しくないものと報告されている。5月前半と6月前半には降雨があったものの、収穫作業を完了し、生育を十分なものにするには、さらなる降雨が必要とされている。一方、QLD州やNSW州、VIC州の一部ではは種・生育適期に降雨があった。また、2012年前半の大雨や洪水も、土壌水分量を高める結果となっている。これが、冬作物の今後の生育に好影響を及ぼすものとみられる。
 主要作物別にみると、小麦の作付面積は、気象条件や価格の低下から、1335万3千ヘクタール(前年度比5.0%減)と、やや減少が予測される。生産量は、作付面積の減少と単収低下から、2412万4千トン(同18.3%減)と予測される。2年連続の大豊作となった前年度と比較すると大幅減であるものの、過去5年平均(2284万6千トン)と比較すると、依然5.6%上回っている。
 大麦も、小麦と同様に、作付面積の減少と単収低下が見込まれる。作付面積は387万5千ヘクタール(同4.0%減)、生産量は730万2千トン(同14.8%減)と予測される。
 一方、カノーラは、小麦や大麦など穀物と比較して高値が予測されることから、作付面積は212万3千ヘクタール(同22.7%増)と大幅な増加が見込まれる。単収は他作物と同様に低下が見込まれるものの、作付面積の増加を反映して、生産量は293万5千トン(同4.3%増)と予測される。
 
【伊藤 久美 平成24年6月21日発】
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