第19回世界食肉会議(ワールド・ミート・コングレス)がパリで開催
国際食肉事務局(IMS)が主催する第19回目となるワールド・ミート・コングレスは「誇りある食肉生産と取引」をテーマに、6月5日から6日にかけて、フランスの首都パリで開催された。
40カ国、約800人の食肉関係者が一同に集うなか、各国の出席者や専門家から食肉に関する事例報告や現状分析に関する発表が行われた。概要は以下のとおり。
「バランスある行動」を基本理念に、各国から最新情報を提供
主な内容は、食肉の需給に関する最新事情及びその分析や、環境対策、アニマルウェルフェアの動向、各国における食肉生産の取り組み状況などである。会議の合間や、終了後には懇談の場が設けられ、出席者間で活発な意見交換が交わされた。
特に、今回の会議では、全体を通じて“バランスある行動”が基本理念として中心に据えられ、出席者に共有された。これは、“持続性”という概念が単に環境保護を意味するのではなく、採算性や地域社会の維持、文化的多様性なども含むものであり、この考えを維持発展させていくことが食肉業界全体の未来に繋がるというものである。
IMS会長、環境対策への連携を呼びかけ
開会に際し、主催者であるIMS会長ララバイヨール氏は、IMSは食肉業界が直面する環境対策へ重要な役割を担っていくと述べ、参加者に対し協力を呼びかけた。
ララバイヨール氏に続き、開催地であるフランスを代表して、政権交代後に就任して間もないルフォール農業大臣が挨拶を行った。
また、国連食糧農業機関(FAO)の担当者も講演を行い、アフリカ豚コレラ対策に力を入れていく旨を報告するとともに、各国の食肉関係者へも対策への協力を呼びかけた。
会議終盤には、EUの農業・農村開発担当委員であるシオロス氏も講演を行った。講演の中で、EU全体では国際市場を重視した農業政策に移行し、食肉産業にあっても一層の国際競争力を持つ産業としていきたいが、生物多様性の維持と緑地保護の観点から、競争力の低い生産者を守っていくことも必要であるなどの考えを述べた。
このように、国際的な要人の登壇も多く、関係者の注目を集める開催となった。
なお、ワールド・ミート・コングレスは、2年に一度開催されており、次回開催は中国(北京市)において、2014年に開催される予定となっている。
【宅間 淳 平成24年6月27日発】
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農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
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