メキシコの畜産を巡る最近の情勢〜干ばつの継続により政府支出は増大〜
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北部で深刻な干ばつが継続
農畜水産農村開発食料省(SAGARPA)は5月31日、長期化する干ばつ被害への財政支援の実施状況を発表した。これによると、SAGAPRAは、2012年1月〜5月の間に干ばつの被害を受けた地域を対象に170億ペソ(約1183億円、1ペソ=6.96円)の財政支援を行った。
現在最も干ばつの被害を受けているシナロア州は、メキシコ北部に位置し、秋・冬トウモロコシの生産量第1位(総生産量の約75%)を誇る州であるが、10万ヘクタールの耕地が干ばつによる甚大な被害を受けたとされる。これは、2011/12年度における州推定耕地面積の6分の1に当たる。なお、米国農務省(USDA)によると、メキシコで生産するトウモロコシのうち、秋から冬にかけて播種が行われるものがトウモロコシ総生産量の約25%を占め、通常5〜6月に収穫される。
また、干ばつによる肉牛の被害はこれまでにメキシコ全土で7万2000頭近くにのぼるとされる(SAGARPA)。
主要鶏肉生産州で鳥インフルエンザが発生
メキシコ食品衛生安全品質管理局(SENASICA)は、高病原性鳥インフルエンザ(H7N3型)が鶏肉生産量第1位のハリスコ州にある3戸の養鶏農家で確認されたことを発表した。
USDAによると、確認された地域は養鶏農家が密集しており、疾病のまん延を防止するため、サーベイランスの実施や農家を対象とした検査を強化している。
2011年のハリスコ州の鶏肉生産量は全体の約11%、また、鶏卵は同50%を占めている。6月25日時点でハリスコ州には約100万羽の鶏が飼養されていたが、うち6万羽相当が鳥インフルエンザ発生により処分された(USDA)。
SENASICAは、市場に出回っている鶏肉や鶏卵はインフルエンザウイルスに感染していないため、食用に際して問題がないことを強調している。
統計データ
【柴ア 由佳 平成24年7月4日発】
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農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
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