韓国の牛乳・乳製品需給の現状と今後の見通し(2012年6月現在)
韓国農村経済研究院(KREI)農業観測センターが5月25日に公表した2012年6月号の畜産観測(乳牛編)に基づき、韓国の牛乳・乳製品需給の現状と今後の見通しを報告する。
乳用牛飼養頭数は緩やかに増加
2012年3月の乳用牛飼養頭数は、40万4千頭(前年同月比1.9%増)、飼養農家戸数は、6千戸と前年12月より100戸減少した。このため、1戸当たり飼養頭数は67.6頭(前年同月比2.4%増)となった。
2011年の生産費が輸入飼料価格高騰により1リットル当たり前年比16.9%増の718ウォン(約49円:5月末TTSレート 100ウォン=6.89円で計算)に上昇したことを背景に、昨年8月に基本乳価が、1リットル当たり704ウォンから834ウォン(約57円)に引き上げられた。
また、同月、生乳生産の拡大を目的に、乳業メーカーなどが生産者に割当てる生乳生産割当量(クオータ)を5%拡大、生産量の3割を占める2等級(体細胞20〜35万未満の生乳)に対する加算額の同47ウォン(約3円)は継続している。
このため、酪農家の生産意欲の増大は続いており、乳用牛の導入需要を高めている。3月の初妊牛価格は前年同月から45.8%高の389万ウォン(約27万円)となり、依然として高い水準で推移している。
加えて、老廃牛のとう汰が遅れているため、乳用牛飼養頭数は今後緩やかに増加すると見ており、6月は、40万5千〜40万7千頭、9月は、40万7千〜40万9千頭になると予測している。
2012年第1四半期の生乳生産量は口蹄疫前の水準まで回復
2012年第1四半期(1‐3月)の生乳生産量は、搾乳頭数が増加したことにより、前期比12.2%増の51万4千トンとなった。2010年の同期比1.2%減であり、口蹄疫前の水準までほぼ回復した。
今後は、飼養頭数の増加と生乳生産割当量(クオータ)の拡大により、生乳生産量の増加が見込まれ、2012年第2四半期(4‐6月)は54万3千〜54万8千トン(前年同期比11.4〜12.5%増)、第3四半期(7‐9月)は51万5千〜52万(同9.9〜10.9%増)となる見通しである。
一方で、消費量は景気低迷により第1四半期で前年同期比5.5%下落(71万トン)している。したがって、今後、供給過剰が懸念されており、政府は季節ごとの基本乳価の設定や全国単位での需給調整制度の導入を検討している。
なお、酪農振興会によると、2012年の生乳生産量は208万トン、需要量は186万トンと見込んでおり、供給過剰は避けらないとして、需給調整や消費拡大などの対策が必要としている。
2012年下半期は輸入無税枠措置の停止予定
2012年1‐5月の輸入量は、脱脂粉乳が5,965トン(前年同期比18.0%減)、全脂粉乳が596トン(前年同期比53.2%減)、バターが1,738トン(前年同期比22.2%増)となった。
粉乳在庫量は2012年に入り大幅に増加しており、4月時点で前年同月比924.4%増(8,779トン)であった。この結果、2011年に価格安定のために輸入乳製品(粉乳、バター、チーズなど)に対して無税枠が措置されていたが、粉乳及びバターについては2012年下半期から停止される模様。
【宗政 修平 平成24年7月9日発】
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