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2011/12年度の豪州肉牛経営、農家所得は北部で好調

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 豪州農業資源経済科学局(ABARES)は6月29日、肉牛経営者の2011/12年度(7月〜翌6月)の農業経営動向調査結果を公表した。
 これによると、2011/12年度の農家所得は、北部が1経営体あたり11万8900豪ドル(975万円、1豪ドル=82円)で、前年度から同2万8210豪ドル(231万円)増となった。一方、南部は同8万1600豪ドル(669万円)となり、前年度から同1万1800豪ドル(97万円)減となったことがわかった。

北部の経営動向、肉牛販売収入の減少を生産コストの減少が補う

 北部の経営動向をみると、現金収入は40万4600豪ドル(3320万円)、前年度から3,270豪ドル(27万円)の減少が見込まれている。これは主に肉牛販売収入の減少によるものである。2010年以降、肉牛生産のさかんな東部を中心に干ばつから回復、さらに2010/11年度から2年連続で十分な降雨に恵まれたことで、肉牛生産者は牛群再構築のために雌牛や子牛の保留を強めた。この結果、北部では2011/12年度の1経営体当たり肉牛販売頭数は前年度から11頭減の407頭となり、肉牛販売収入は同930豪ドル(8万円)減となった。
 現金支出は肉牛購入費や飼料購入費、支払利息など主要なコストの減少が見込まれて、同28万5700豪ドル(2340万円)、前年度から同3万1480豪ドル(258万円)の減少が見込まれる。
 この結果、1経営体の農家所得は、前年度から増加の見込みとなった。また、飼養頭数の増加が流動資産の増加につながり、農家収益は同9万900豪ドル(745万円)と、前年度から同4万7320豪ドル(388万円)増が見込まれる。

南部は農作物や羊の販売収入が影響

 南部でも収支ともに減少の見込みとなっている。しかしながら、複合経営の多い南部の農家経営は北部と比べて、農作物や羊(子羊含む。以下同じ)の販売の影響を受けやすい。
 現金収入をみると、肉牛や羊の販売収入が減少するほか、農作物販売収入が、高単収と堅調な価格から記録的な収入となった前年度から大幅減となることから、前年度から4万840豪ドル(335万円)減の32万400豪ドル(2630万円)と見込まれる。
 一方、現金支出は同23万8800豪ドル(1960万円)、前年度から同2万9040豪ドル(238万円)減が見込まれるものの、現金収入の減少を補えず、農家所得は減少の見込みとなった。

生体輸出の農場では農家所得4割減

 農家所得が増加した北部で例外となったのが、北部準州(NT)や西オーストラリア(WA)州の最北部に位置する地域で、経営の大半を生体牛輸出に頼る農場である。肉牛出荷頭数の半分以上を生体輸出に仕向ける農場では、2011/12年度の1経営体当たりの農家所得は前年度(51万9000豪ドル)から約4割減の31万豪ドル(2540万円)と見込まれる。最大の輸出先であるインドネシア向けの出荷頭数減が響いた形となった(2011年は前年比2割減の41万3789頭、2012年は同3割減の28万3000頭の見込み)。
1農場当たりの経営動向
※ 本調査は、毎年全国規模で調査しているもので、肉牛生産者の経営動向を把握する上で重要な指針となっている。ここでは、気候や牧草の生育状況の違いから、肉牛の飼養規模や飼養品種の異なる2つの地域(北部、南部)に区分している。北部にはクイーンズランド州、NTおよびWA州北部、南部にはニューサウスウェールズ州、ビクトリア州、南オーストラリア(SA)州およびWA州南部が区分される。また、飼養規模が100頭未満の農家経営およびフィードロット専業経営(5000頭以上を飼養し、70日以上の肥育経営)は除外される。
【伊藤 久美 平成24年8月2日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
Tel:03-3583-4391