FAO:世界の食料価格指数は4カ月振りに前月を上回る(7月)
最終更新日:2012年8月17日
国連食糧農業機関(FAO)が8月9日に発表した7月の食料価格指数(注)は、前月(修正後)を12.4ポイント、6.2%上回る213.1ポイントとなった。これは、穀物および砂糖の価格上昇によるものであり、同指数は4カ月振りに前月を上回った(図1)。
穀物および砂糖、大幅に前月を上回る
FAOの発表によると、上がり幅が最も大きいのは穀物で、前月(修正後)から37.9ポイント上昇の259.9ポイントとなった。これは、トウモロコシおよび小麦の価格高騰に起因する。米国がトウモロコシ生産にとって重要な時期である受粉期に深刻な干ばつに見舞われたことから、生産量が大幅に減少すると見込まれ、トウモロコシ価格は23%上昇した。また、小麦は、ロシアが干ばつに見舞われたことで生産見通しが悪化したこと、飼料向けにトウモロコシの代替原料として需要が高まっていることなどから、小麦価格は19%上昇した(図2)。
次いで、砂糖は、世界最大の輸出国であるブラジルで収穫期の天候不順により製糖作業に大幅な遅れが生じていることや、インドでは降雨不足によるサトウキビ生産への影響が懸念されることなどにより、前月(修正後)から33.9ポイント上昇の324.3ポイントとなった。
油脂は、前月から上昇し226.1ポイントとなった。米国の干ばつにより大豆の需給ひっ迫が懸念されることを受け、大豆価格は過去最高を記録したものの、ヤシ油やヒマワリ油などで十分な供給が見込まれることから、指数の上昇は5.4ポイントに止まった。
一方、食肉は、主要な品目(牛肉、豚肉、鶏肉、羊肉)すべての価格が前月を下回ったことから前月(修正後)から1.7ポイント低下の167.7ポイントとなり、牛乳・乳製品は、前月(修正後)並みの172.9ポイントとなった(図3)。しかしながら、穀物価格の高騰は飼料価格上昇につながることから、今後、食肉価格や牛乳・乳製品価格にも影響が出るとみられる。
注1:FAOの食料価格指数(Food Price Index)は、穀物、油脂、牛乳・乳製品、砂糖および食肉の国際価格について、2002〜2004年を100とし、食品全体の平均価格を指数化したものである。
注2:FAOの公表では食料価格指数の変動要因が明らかにされていない場合もあることから、当機構の分析を適宜追加している。
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