2012年(1〜6月)の農業生産額は、前年同期2%減少(フィリピン)
フィリピン農務省農業統計局(BAS)は、2012年(1〜6月)の農業生産状況を公表した。これによると、農業部門全体における生産額(現行価格)は、前年同期比2.3%減の6914億ペソ(約1兆3828億円:1ペソ=2.0円)と前年同期を下回った。
1 耕種部門の生産額は大幅増加
農業生産額の5割以上を占める耕種部門は、サトウキビが大幅に減産するものの稲作やトウモロコシの増産により同5.1%増の3923億ペソ(約7846億円)となった。
サトウキビの生産額は同41.3%減の255億ペソ(約510億円)、トウモロコシの生産額は同6.4%増の446億ペソ(約892億円)となった。サトウキビの生産は、株出の成育が不良やミンダナオ島のマギンダナオ州で油ヤシに転作したことにより同19.5%減の1582万トンと大幅に減産となった。
一方、トウモロコシの生産は、ミンダナオ島のガラガ地方で植付け期の最適な降雨により作付面積の拡大やルソン島のイルコス地方で収穫時期の天候が順調だったことが歩留りの向上につながったことより、同4.8増%の347万トンとなった。
2 家畜部門の生産額は減少する一方、家禽部門は増加
(1)家畜部門
家畜部門(牛肉、水牛肉、豚肉、ヤギ肉、生乳)の生産額は同2.7%減の1003億ペソ(約2006億円)と減少する一方で、家きん部門(鶏肉、アヒル肉、鶏卵、アヒル卵)は同5.0%増の813億ペソ(約1626億円)となった。
家きん部門の生産額は、牛肉が同1.3%減の103億ペソ(約206億円)、水牛肉が同1.7%減の48億ペソ(約96億円)、豚肉が同2.9%減の812億ペソ(約1624億円)、やぎ肉が同4.6%減の37億ペソ(約74億円)で、一方、生乳は同16.7%増の3億ペソ(約6億円)と生産額が大幅に増加したものの、生産額に占める割合の大きい食肉類が落ち込んだため、前年同期を下回った。
牛肉の生産量はカラバゾン地方とビコル地方で第2四半期(4−6月)のと畜頭数が微減し同0.4%減の12万トン、水牛肉も同様にと畜頭数が減少し同3.7%減の7万トンとなった。豚肉は中部ルソン地方、中部ヴィサヤ地方で第1四半期(1−3月)の家庭向け需要が好調であり同1.1%増の93万トンとなったものの生産者販売価格が同3.9%下落したため生産額が減少した。ヤギ肉は在庫が増加しておりと畜頭数が減少し同6.6%減の3.7万トンとなった。一方、生乳の生産量は飼養頭数の増加により同15.8%増の9千トンとなった。
(2)家きん部門
家きん部門の生産額は、鶏肉が同3.4%増の596億ペソ(約1192億円)、アヒル肉が同4.7%増の12億ペソ(約24億円)、鶏卵が10.1%増の189億ペソ(約378億円)、アヒル卵が10.9%増の16億ペソ(約32億円)となった。
鶏肉の生産量は需要が伸びていることや成育が好調で生体重が増加し同5.3%増の72万トン、鶏卵は飼養羽数の増加に加えて産卵率の上昇を反映し同6.4%増の21万トン、アヒル卵の生産量は、天候が産卵に適した気温であったため、産卵率の上昇を反映し同6.7%増の2万トンとなった。アヒル肉は在庫が増加しているため同0.2%減の1.6万トンとなったものの生産者販売価格が同4.9%増となったためすべての品目で生産額が前年を上回った。
【宗政 修平 平成24年8月28日発】
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