豪州の2012年6月フィードロット飼養頭数は前回調査から4.9%増
豪州フィードロット協会(ALFA)は8月28日、豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)と共同で四半期ごとに実施している全国フィードロット飼養頭数調査の結果(2012年4-6月期)を公表した。
これによると、2012年6月末時点の総飼養頭数は78万8625頭(前年同期比0.5%減)となり、前回調査(2012年3月末時点、75万2113頭)からは4.9%増となったことがわかった。収容能力は126万6710頭(前年同期比2.9%減)となり、前回調査(125万8129頭)からは0.7%増とわずかに増加した。
総飼養頭数と収容能力が増加した結果、稼働率も前回調査から2.5ポイント増の62.3%と増加している。
素牛価格と飼料価格の低下が飼養頭数増に寄与
飼養頭数増について、ALFAは素牛価格の低下と飼料価格の低下を要因として挙げている。
素牛価格の低下は、夏後半(3月頃)から豪州南部を中心に平年よりも乾燥した気候となり、出荷頭数が増加したことを反映している。肥育素牛(feeder steer : 330kg以下)の4〜6月平均価格は前年同期から6%安の生体1キログラム当たり202豪セント(168円:1豪ドル=83円)となった。
また、フィードロットが多く点在するクイーンズランド(QLD)州南東部ダーリングダウンにおける飼料穀物の4〜6月平均価格は、ソルガムが同18%安の1トン当たり181豪ドル(1万5千円)、小麦が同11%安の同214豪ドル(1万8千円)となった。
これに加え、牛肉輸出やフィードロット業者の収益性に影響を及ぼす豪ドル為替は、1〜3月は対米ドルの平均が1豪ドル当たり1.056米ドルと高値で推移したが、5月半ばから軟化し、4〜6月は同1.010米ドルとなった。
今期は、QLD州の中小規模(10,000頭以下)のフィードロット農場で飼養頭数が特に増加した。これらの農場では、飼料穀物価格の下落により穀物販売収入が低下したことや豪ドル高の軟化を受け、肉牛販売収入を見込んで飼養頭数を増やしたものとみられる。
6月末から、豪州国内の穀物価格はシカゴ相場の影響を受けて上昇している。ALFAは、飼料穀物価格上昇によるフィードロットへの影響は2012年後半に現れるだろうとしている。
【伊藤 久美 平成24年8月31日発】
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