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豪州の2012/13年度冬作物生産見通しは下方修正されるも、過去5年平均比ではわずかな減少

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 豪州農業資源経済科学局(ABARES)は9月11日、2012/13年度(7月〜翌6月)の冬作物および夏作物生産見通しを発表した。これによると、冬作物の生産量は3622万8千トン(前年度比20.1%減)となり、前回6月発表時(3846万9千トン)から下方修正となった。しかし、過去5年平均比(3643万4千トン)では0.6%減とわずかな減少にとどまっている。
 品目別では、小麦の生産量は2254万2千トン(前年度比23.6%減)、大麦の生産量は696万トン(同18.8%減)となり、こちらも前回発表時(小麦2412万4千トン、大麦730万2千トン)から下方修正となった。

西オーストラリア州で大幅減の一方、クイーンズランド州では増加の見込み

 冬作物の生育期にあたる6月から8月にかけての降水量は、クイーンズランド(QLD)州およびニューサウスウェールズ(NSW)州北部を除く生産地域の大半で、平年並みかそれ以下となり、今回の下方修正はそれを反映した結果となった。
 特に、冬作物の最大の生産地である西オーストラリア(WA)州の生産地域では、南部沿岸部を除くほぼ全域で深刻な雨不足となり、生産量は1090万4千トン(前年度比35.3%減)と大幅な減産が見込まれ、前回発表時(1319万8千トン)からも大きく下方修正となった。ビクトリア州や南オーストラリア州においても前回調査時から下方修正、前年度からも減産見込みとなっている。
 一方、QLD州およびNSW州北部における降水量は平年並みまたはそれ以上となった。QLD州の生産量は227万9千トン(同8.4%増)と増加の見込みとなり、前回発表時(207万4千トン)からも上方修正された。NSW州では、生産量は1083万1千トン(同7.2%減)と前年度からは減産が見込まれるものの、前回発表時(1055万2千トン)からは上方修正されている。
 豪州気象局(BOM)が8月22日に公表した向う3カ月の気象予測によると、南東部では乾燥した気候となる可能性が強まると予測されているが、WA州の生産地における降水量は平年以上、QLD州の生産地においても平年並みが見込まれている。ABARESは、今回の予測を達成するには、生育期後期にあたる春に適時適量の降雨が必要としており、今後の降雨が期待される。

2012/13年度の夏作物は堅調な穀物価格から、作付面積の増加が見込まれる

 2012/13年度の夏作物は、作付面積が166万1千ヘクタール(前年度比6.0%増)、生産量が574万4千ヘクタール(同5.4%増)と、増加が見込まれる。作付面積の増加は、主産地であるQLD州南部やNSW州北部で土壌水分量やかんがい用水の使用量が十分にあることや、ソルガムなどの堅調な穀物価格を反映している。
 品目別にみると、ソルガムは作付面積が78万2千ヘクタール(同23.7%増)と大幅増が見込まれることから、生産量は545万トン(同10.0%増)と、2年連続の増産が見込まれる。
 一方、綿実は、価格の下落から作付面積の減少が見込まれて、作付面積は51万5千ヘクタール(同14.2%減)、生産量は140万2千トン(同7.1%減)と、減少の見込みとなった。
2012/13年度の主要冬作物生産見通し
2012/13年度の主要夏作物生産見通し
【伊藤 久美 平成24年9月13日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
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