2012年11月11日、デンマーク財務省は2013年の国家予算に関する協定が政府と連立与党間で合意に至ったと発表し、本協定の主要な内容の一つとして「脂肪税と砂糖税の廃止」を掲げた。
昨年の10月1日から施行された脂肪税は、食品中の飽和脂肪酸(脂肪を構成する化合物の一つ)に課税する世界で初めての制度として注目されたが、およそ1年間という短期間で、廃止されることとなった。
財務省のプレスリリースおよび同協定によると、脂肪税と砂糖税の廃止について、次の理由が挙げられている。
・結果として逆累進課税となり、低所得者層に対し悪影響を及ぼす。
・消費者価格ならびに企業の管理コストを押し上げ、デンマークの雇用を危険にさらす。
・デンマーク国民が安価な商品を求め、国外で買い物をすることを助長する。
今回の脂肪税の廃止により、企業の管理コストは、電気暖房に関する税率の低減とあわせ、長期的には240万デンマーククローネ(3,360万円、1デンマーククローネ=14円 2012年10月末TTS)の節減をもたらすと見込んでいる。
なお、脂肪税廃止の報をうけ、EU域内の食品企業で構成するフードドリンクヨーロッパ(FoodDrinkEurope)は、廃止を歓迎するプレスリリースを発表した。
発表によると、脂肪税および砂糖税は、(1)消費者にとっては食品価格を上昇させる要因であり、国境を越えた購買行動と地域の雇用を喪失させる、(2)企業にとっては管理と税金徴収の負担を生みだす、(3)ヨーロッパ最大の製造業である食品産業の競争力を奪うものである、(4)肥満を解消するような食生活の改善などの消費者行動に変化をもたらすことができないものであった、と批判している。
《参考》
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【デンマーク脂肪税を導入】:脂肪税導入時の経緯と概要
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【デンマークにおける「脂肪税」の導入と畜産物への影響】:脂肪税導入の影響に関する現地調査(2012年6月時点)