豪州の2012年9月フィードロット飼養頭数は前回調査時から1割減
豪州フィードロット協会(ALFA)は11月14日、豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)と共同で四半期ごとに実施している全国フィードロット飼養頭数調査の結果(2012年7-9月期)を公表した。
これによると、2012年9月末時点の総飼養頭数は71万7145頭となり、前年同期からは0.5%増とほぼ横ばいとなったが、前回調査(2012年6月末時点、78万8625頭)からは9.1%減と大きく落ち込んだ。
州別にみると、飼養頭数が最大のクイーンズランド(QLD)州で前回調査から6.4%増となったものの、他州では2割から6割超といずれも大幅減となった。
飼料穀物価格高がフィードロット経営に影響
ALFAは、フィードロット飼養頭数の減少要因について、グレインフェッド牛肉の主要輸出市場である日本や韓国での米国産との競合による輸出不振に加え、豪州国内での飼料穀物価格高を挙げている。
グレインフェッド牛肉輸出の最大の仕向け先である日本向け輸出量(船積重量ベース)は、日本国内における低価格志向や米国産との競合により、2012年1月から9月までの累計で前年同期を12.5%下回る9万4019トンとなった。また、韓国向けについても、日本と同様に米国産との競合から、4四半期連続で減少している。
飼料穀物価格をみると、穀物生産地域でありフィードロットが多く点在するQLD州南東部ダーリングダウンにおける飼料用小麦の7〜9月平均価格はトン当たり278豪ドル(2万4000円:1豪ドル=85円)と前年同期を14%上回った。また、ニューサウスウェールズ(NSW)州リベリナの飼料用小麦価格は同257豪ドル(2万2000円)と前年同期を3割以上上回る水準となった。これが、フィードロットの経営を圧迫し、飼養頭数減につながった。
一方、穀物価格高にもかかわらず飼養頭数が増加したQLD州では、同州の9月における肥育素牛価格が下落したことから、素牛の導入が進んだものとみられる。豪州では8月から10月にかけて乾燥した気候となり、家畜市場への出荷頭数の増加から豪州での肉牛価格は下落傾向となっている。
豪ドル高が輸出不振や収益性の圧迫につながる中、飼料穀物価格はなおも堅調に推移していることから、フィードロット経営は今後も苦しい状況が続くものと推察される。
【伊藤 久美 平成24年11月16日発】
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