港湾作業の遅れによる生産者への影響を懸念(アルゼンチン)
検査強化により手続きに遅れ
アルゼンチンでの港湾物流では、しばしばストライキが発生することで輸送や荷役の障害となっている。最近では税関が輸出検査を強化する方針を打ち出し、10月中旬ごろからその検査体制が明らかになったが、これまでのところ公式発表は行われていない。
現地一般紙の報道によれば、港での手続きの遅れにより船舶は77件、輸出業者の54%が影響を受け、税関審査に要した時間は平均17.2時間、この間、積み込めなかった穀物や農産加工品は190万トン、船舶のチャーター代は一日当たり25,000ドルなどと具体的な数字を挙げてその損害の大きさを報じている。
新たな検査を導入
アルゼンチン農牧連盟(CRA)の11月16日付けプレスリリースでは、国税局(AFIP)による船荷の規制強化により、港湾物流のコストが上昇し、結果として農業生産者の受取価格が減少する可能性があるとしている。
CRAによると、最近1か月半の間に政府は船積み許可について、喫水測定、喫水調査その他による船荷重量の確認など、実行困難な新たな検査項目を追加して、輸出手続きを煩雑にした。さらに5月に公示された決議第3341/2012号により、ばら積み船舶について、麻薬探知犬による麻薬探知検査が導入され、一部の港湾では操業に係る暫定許可の更新が停止されている。これらの一連の措置は、船積み作業に係る時間を増やすだけでなく、それに伴う港湾経費の増加をもたらしているとしている。
農業団体はこの事態を強く懸念
CRAは、この措置によってもたらされる影響への懸念を表明すると共に、アルゼンチンの港湾物流管理システムを他の穀物輸出国のシステムに適応させ、農畜産品の輸出に係るコストをいたずらに増加させるのではなく、管理の質を向上させるよう政府に要請している。
アルゼンチンでは、間もなく小麦の収穫も始まることから、関係者は船荷手続きの遅れが今後も続き、事態がさらに深刻化することを強く懸念している。
【横打 友恵 平成24年11月29日発】
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