2012年1〜10月における中国の全脂粉乳の輸入量は、前年同期比16.4%増の32万4592トンとなり、2012年は、前年の輸入量を超過することがわかった。
内訳を見ると、ニュージーランド(以下、「NZ」という。)が同21.2%増の31万3933トン(シェア96.7%)と大幅に増加しており、2008年4月のNZとのFTA締結の効果が顕著に現れていることがわかる。これに対し、デンマークや豪州等の他国産の輸入量は大きく減少し、2012年の各国の輸入量は前年割れとなることが見込まれる。
また、脱脂粉乳の輸入量も同様に、同48.6%増の14万7303トンと大幅に増加し、前年の輸入量を超過している。内訳を見ると、同様の背景のもと、NZが同68.9%増の9万494トン(シェア68.9%)と、全体の輸入量を底上げしているほか、ドイツとフランスがそれぞれ同74.2%増、同130.1%増と大きく増加した。
このように、2008年4月のFTA締結を契機に、NZは粉乳の主要輸入先国となっているが、粉乳は既にセイフガードトリガー発動数量(2012年:115,473トン)を超過している状況にある。特に脱脂粉乳においては、価格的には他国よりも高い状況で推移していることからもわかるとおり、同国産の製品に対して一定の評価が得られているものと考えられる。2008年のメラミン混入事件以降、中国国内の乳幼児向け粉ミルクは、消費者からの高い信頼を背景に、高価格帯の海外ブランド商品に対する需要が根強い。今後、中国国内における乳幼児用粉ミルクや高価格帯のヨーグルト等の需要の増加とともに、引き続き輸入量は伸びていくものと考えられる。