豪州の2012年12月フィードロット飼養頭数は前回調査から1割増
豪州フィードロット協会(ALFA)は2月21日、豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)と共同で四半期ごとに実施している全国フィードロット飼養頭数調査の結果(2012年10-12月期)を公表した。これによると、2012年12月末時点の総飼養頭数は79万2218頭(前年同期比0.2%増)となり、前回調査(2012年9月末)時点の71万7145頭からは1割以上増加した。前回調査時の飼養頭数は、輸出不振や飼料穀物高が影響して大きく落ち込んだが、今回の調査で半年前の水準に戻した形となった。
州別にみると、グレインフェッド牛の主産地であるクイーンズランド(QLD)州やニューサウスウェールズ(NSW)州で、前回調査から2万5000頭超の増加と、頭数ベースで大きく増頭した。また、南オーストラリア(SA)州では2.8倍、西オーストラリア(WA)州では2倍弱の増頭となった。
肥育素牛価格の下落が増頭の要因に
ALFAは飼養頭数の増加要因として、肥育素牛価格の下落を挙げている。若齢牛の10〜12月平均価格(Yearling Steers、生体重330〜400kg)は、前年同期から10%安となるキログラム当たり188豪セント(182円:1豪ドル=97円)となった。2012年8月以降、豪州東部から南部にかけて拡大した高温乾燥気候から、と畜頭数が増加し、飼養環境の悪化から牧草肥育生産者からの素牛需要も低下したことが、肉牛価格の下落につながった。
飼料穀物価格は、フィードロットが多く点在するQLD州南東部ダーリングダウンにおける飼料用小麦の10〜12月平均価格が前年同期比29%高、飼料用大麦が同22%高、ソルガムが同25%高と、依然、高止まりの状況にあるものの、肉牛価格の下落がフィードロットの素牛導入意欲を高めた。
日本向けグレインフェッド牛肉輸出量は前年比12.3%減
MLAによると、グレインフェッド牛肉の2012年輸出量(船積重量ベース)は、日本向けが12万4101トン(前年比12.3%減)、韓国向けも3万1332トン(前年比19%減)と、大きく減少した。EU向け(同46%増)や東南アジア向け(同88%増)、中東向け(同40%増)などが増加したものの、日本向けや韓国向けの減少を補うには至らない数量であった。豪ドル高や輸出市場における消費者からの需要の低迷、米国産との競合などを総合して、フィードロットを取り巻く環境は依然として厳しいとしている。
【伊藤 久美 平成25年2月22日発】
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