2012年の豚肉輸出量は前年比14.4%増と好調(ブラジル)
2012年のブラジル産豚肉輸出量は、前年比14.4%増の49万9000トンとなった。主要輸出先であるロシア向けは2011年から続くブラジルの食肉処理場に対する輸出認可の一部停止による影響によって、2012年の輸出量も低調となった。またアルゼンチンもブラジル産豚肉に対してたびたびの輸入停止を行っていることから、アルゼンチン向け輸出量は半分程度まで減少した。一方、ウクライナ向けの輸出量は前年の2倍超となり、ロシアを抜いてブラジル産豚肉の最大の輸出先となった。これは、同国の自国通貨高に加えて、生産量の増加が個人所得の増加による食肉消費の増加に追いついていないためとみられる。ウクライナ以外の主要輸出先国向けもおおむね好調だが、2012年の大幅増はウクライナ向けの増加に支えられたものであることから、今後、ウクライナの動向が注目される。
2013年1〜2月のブラジル産豚肉の輸出量は前年同期比12.3%増の6万9000トンとなった。特にロシア向けが、前年同期の約2倍の2万3000トンと大幅に増えている。これは、前年、ロシアがラクトパミンの残留を理由に米国産豚肉の輸入を停止したことにより、ブラジル産が代替需要先となっているとみられる。ロシア政府は2月、米国産豚肉等のラクトパミンの残留検査証明書の提出を求めているものの、米国政府は、2012年7月6日、国際連合食糧農業機関(FAO)の食品規格策定期間であるコーデックス委員会がラクトパミンの最大残留基準値の規定に合意したことから、ラクトパミンの安全性は科学的に証明されているとして、双方の意見の対立が続いており、米国産の輸入が停止している。一方、ブラジル政府は、2012年を通じて、2011年6月にブラジル産豚肉の輸入を一部停止したロシア政府に輸入の再開を求める交渉を続けており、現在、マットグロッソ州、パラナ州、リオグランデドスル州を除き、同国向けの輸出が行われている。さらにロシアとブラジルは今年2月下旬にブラジル産豚肉を含め食肉などの輸出を促進するための協定を結んだことにより、さらにロシア向けの輸出量が増加する可能性がある。
【岡 千晴 平成25年3月15日発】
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