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FAO:世界の食料価格指数、前月値据え置き(2月)

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 国連食糧農業機関(FAO)の発表によると、2月の食料価格指数(注)は、前月値(修正後)と同水準の210.2ポイントとなった(図1)。

乳製品は上昇、砂糖および穀物は低下

 FAOの発表によると、乳製品、油脂は前月から上昇するも、砂糖、穀物の低下により、全体では前月と同水準となった。

 最も上昇幅が大きかったのは、7カ月間連続で前月水準を上回って推移している乳製品で、前月から4.8ポイント上昇の203.0ポイントとなった。上昇の最も大きな要因と考えられるのは、世界有数の乳製品輸出地域であるオセアニア、中でもニュージーランドが厳しい乾燥に見舞われていることである。生乳生産量が当初見込みを下回っている一方で、乳製品の国際需要は堅調である。このことから国際乳製品価格が上昇し、特に上昇が大きかったのはバターおよび粉乳であった(図3)。
 次いで油脂は、主にパーム油生産が季節的な減産時期に入ることと、これに伴い現在積み上がっている在庫が減少する予想を反映して、前月から0.9ポイント上昇の206.1ポイントとなった。

 低下した品目を見ると、最も下がり幅が大きかったのは、4カ月連続して対前月比で低下し続けている砂糖で、前月から8.7ポイント低下の259.2ポイントとなった。これは、特にブラジルおよびタイで需要を上回る生産が見込まれ、かつ十分な輸出余力が見込まれることと、フィリピンなどの伝統的な輸入国での生産増加が見込まれていることによる。
 次いで穀物は、米国での穀物生産見込みが上向きになったことにより、小麦の価格が低下したことが影響し、前月(修正後)から2.0ポイント低下の245.3ポイントとなった。一方、トウモロコシについては、米国産の次期穀物年度の新穀が出回るまでは、旧穀の供給がタイトなため高値が続くとみられる。

 また、食肉は、豚肉価格の上昇分を鶏肉価格の下落分が相殺し、前年同の177.7ポイントとなった。飼料穀物価格高騰による生産コストの上昇が引き続き食肉産業の課題となっている一方で、食肉消費は伸び悩んでいる。生産コストの上昇分を価格に転嫁すれば消費はさらに伸び悩むことが予想されるため、同指数は10月以降ほとんど変動していない。

注1:FAOの食料価格指数(Food Price Index)は、穀物、油脂、牛乳・乳製品、砂糖および食肉の国際価格について、2002〜2004年を100とし、食品全体の平均価格を指数化したものである。
注2:FAOの公表では食料価格指数の変動要因が明らかにされていない場合もあることから、当機構の分析を適宜追加している。
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【前田 絵梨 平成25年3月15日発】
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農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
Tel:03-3583-4398