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FAO:世界の食料価格指数、前月から小幅上昇(3月)

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 国連食糧農業機関(FAO)が4月11日に発表した食料価格指数(注)によると、2013年3月の各品目の平均値は、前月を1.7ポイント上回る212ポイントとなった(図1)。

乳製品が大幅に上昇、食肉および穀物はほぼ前月並み

 FAOの発表によると、乳製品は前月から大幅に上昇したが、その他の品目は小幅に上下しており、全品目の平均値では小幅な上昇となった(図2、図3)。

 前月まで7カ月間連続で前月を上回って推移していた乳製品は、前月から22ポイント大幅に上昇して225ポイントとなった。上昇の最も大きな要因となったのは、世界有数の乳製品輸出地域であるオセアニア、中でもニュージーランドで高温・乾燥が続いているため生乳生産量が急速に減少しており、この結果として乳製品生産量が減少していることである。この結果、FAOの食料価格指数のベースとなっているニュージーランド産乳製品の現物市場価格が急騰している。単月の上昇率としては異例の高さとなった今回の指数の上昇は、ニュージーランド以外の調達先が輸入実需者にとっては不確定要因が多いことにも起因している。このようなオセアニアの天候による要因の他に、平年であれば春先の生乳生産量の急増が始まるはずのEUでは、低温のために牧草の再生開始が遅れており、生乳生産が伸び悩んでいることが挙げられる。
砂糖は、世界最大の生産国・輸出国であるブラジルからの供給が遅れたことを反映して、前月から2.8ポイントと小幅に上昇し、262ポイントとなった。ブラジルでは、トラック運転手の勤務管理が強化されたことや、主要輸出港での滞船が60日程度と長期化していることが供給遅れの原因となっている。

 低下した品目で最も下がり幅が大きかったのは、前月から5ポイント低下して201ポイントとなった油脂である。油脂の値下がりの中心となったのは、大豆油であり、(1)好天で南米が豊作となっていること、(2)米国農務省の今年の生産見込みが大幅な増産となっていること、(3)中国の輸入が大量にキャンセルされていること、(4)米国の搾油需要が停滞していること- が下げ要因となっている。現在、東南アジアでは、パーム油やパーム核油の供給過剰による価格低下が社会問題となりつつあり、政府介入などが行われなければ、油脂の指数はさらに低下するものとみられる。
 次いで食肉は、前月から2ポイントとわずかに低下して176ポイントとなったが、これは昨年来の飼料穀物価格の高騰が続いていながらも、全体としては食肉の供給量が低下していないことによる。

 穀物も1ポイント低下の小幅な動きで244ポイントとなった。今月の指数は、前年同期比では7パーセント高いが、世界的な穀物価格の高騰が起こった2008年4月との比較では、依然として11%低い水準となっている。トウモロコシは、2012年の干ばつの影響で米国からの輸出可能量が減少したことにより指数が上昇したが、この上昇分は小麦価格の低下分でほぼ帳消しとなっている。小麦の価格低下は、3月前半の主要生産国の天候が良かったことによるが、後半に入って季節外れの低温に見舞われたため、価格が反転している。

注1:FAOの食料価格指数(Food Price Index)は、穀物、油脂、牛乳・乳製品、砂糖および食肉の国際価格について、2002〜2004年を100とし、食品全体の平均価格を指数化したものである。
注2:FAOの公表では食料価格指数の変動要因が明らかにされていない場合もあることから、当機構の分析を適宜追加している。

【平成25年4月12日発 小林 誠】
図1
図2
図3
【小林 誠 平成25年4月15日発】
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農畜産業振興機構 調査情報部 調査課 (担当:国際調査グループ)
Tel:03-3583-4396